大学校及び設置科 関東職業能力開発大学校 建築科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 M、Q、N図の作図ができ、各種応力度を求めることができることが望ましいです。
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

コンクリートの調合・製造、鉄筋の加工・組立ておよびRC梁の強度特性に関する知識と技術を習得することができます。

製作の目的と概要

 現在の鉄筋コンクリート構造(以降、RC造と表記)の施工現場では、建設技能労働者の高齢化と若年者人口の減少により、建築物を施工するうえで必要な技能および技術の低下が問題となっています。これにより、従来は経験豊富な技能者や技術者により解決されてきた施工段階での欠陥(施工欠陥)について,見落としや未対応となるケースが増加する恐れがあります。そこで、本研究では種々の施工欠陥を計画したRC造梁を対象とし、曲げ試験に供すること施工欠陥が梁部材に及ぼす影響を調査しました。

★技能・技術習得目標
 実験計画、実施等の立案ができる
 コンクリートの計画調合および製造ができる
 鉄筋の加工および組立てができる
 RC構造に関する施工管理の重要性を認識できる
 施工欠陥が構造物に及ぼす影響を習得することができる

成果

 コンクリート断面の欠損によりせん断耐力が低下した場合では,脆性破壊の危険性が示されました。また、下端主筋の中央に施工欠陥が生じた場合では,主筋が十分に曲げに対し機能せず,早期に曲げ破壊し急激な耐力低下が認められました。

★アピールポイント
 従来の鉄筋コンクリート梁の曲げ試験に関する研究等の多くは構造面に着目したものであり、施工性に着目した課題に関する研究等はありません。この制作課題は、実建築現場考えられる施工欠陥をパラメータとすることで、鉄筋コンクリートの施工性が梁部材に及ぼす影響を調査しました。また、職業能力開発大学校を修了した学生の多くは、施工管理技術者として就職するケースが多く、建築工事における技術や技能の低下が招く施工欠陥について的確に対応するためには、施工欠陥が実構造物に及ぼす影響について理解しておく必要が重要であると考えられます。このため、職業能力ニーズにも対応した課題でもあります。
鉄筋コンクリート構造における施工欠陥が梁部材に及ぼす影響(H28)の画像1
図1 曲げ破壊(標準タイプ)
鉄筋コンクリート構造における施工欠陥が梁部材に及ぼす影響(H28)の画像2
図2 せん断破壊(穴あきタイプ)