大学校及び設置科 北陸職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 機械設計技術、機械加工技術、CAD/CAM技術、機械制御技術、電気回路設計技術、空気圧制御技術、プログラミング技術(Visual Basic)
課題に取り組む推奨段階 応用課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

機械:主に企画・設計、CAD/CAM技術、機械加工技術、組立・調整・検査の応用実践力、熱成形技術 電気:制御盤製作技術、電気回路設計技術、空気圧制御技術、熱成形技術 電子情報:デジタル通信技術、プログラミング技術、熱成形技術

製作の目的と概要

昨年度と同様に、「熱成形加工」に着目したテーマです。本校には、ものづくりの楽しさを地域の人たちに理解してもらい、地元技術者の育成につなげるねらいがあることから、小・中・高校への出前授業などでの活用や地域のものづくり体験イベント会場での活用が望める、校外へ出張できる装置を開発しました。そのため、昨年度のものよりも大幅に小型化しました。開発製品は、最大出力1350[W] の遠赤外線セラミックヒータにより、樹脂のカットシート(幅300×300 [mm]、厚さ1 [mm] 以下)を熱成形できます。機械操作は、タッチパネルによる操作が基本です。使用者に合わせたモード選択機能(体験者モード,経験者モード,上級者モードがある)や音声案内機能,内部カメラ機能による加工状況の把握や投影など、小学生から一般人まで、簡単な操作で熱成形が行える実用的な装置です。
★技能・技術習得目標:
課題を通して、機械系の学生は各種機械要素、構造材料の使用方法や設計方法を知り、それぞれ適した機械加工法やCAD/CAM技術を活用し、型製作技術を習得します。また、電気系の学生は、電気回路設計技術を用いて制御盤内を回路設計します。さらに、PIDによる温度制御技術や駆動部の空気圧制御技術を習得します。電子情報系の学生は、タッチパネルによる操作を可能とするシステム設計技術を習得します。各科共通として、熱成形実験を通し、プラスチックの特性を学び、熱成形加工技術を習得します。

成果

図1に可搬型熱成形機の外観を示します。熱成形機は、本体部および別置きの操作部で構成されています。本体サイズは、台車(幅800×奥行き600 [mm])で運搬可能なサイズです。本体質量は80[kg]です。また、本体上部の扉が開閉することで、カットシートの①設置、②加熱軟化、③型押上げ成形、④搬出まで水平上に自動で搬送されます。型設置部は電動シリンダーにて駆動させます。型設置部に3パターンの絵の具用パレットを内蔵しています。真空吸引は、市販の布団圧縮器具を利用しました。図2に操作画面を示します。ユーザーのレベルに応じた初心者モード、体験者モード、上級者モードによるオペレーションが可能です。図3に成形品の例を示します。内蔵した型による成形品(パレット)と石塑粘土を用いた型による成形品を示します。カットシートは厚さ0.4[mm]の硬質塩化ビニル(PVC)を適用しました。
★アピールポイント:
・タッチパネルにより成形までの段取りを音声で案内し、成形完了までの操作をボタン操作のみで簡単に行えます。
・成形実験も含めるとすでに100回以上の熱成形を行っています。安定して熱成形を行える加工機です。
・大・中・小サイズの絵の具用パレットが成形できます。
・商用バンで運搬可能です。
可搬型 熱成形機の開発(H28)の画像1
図1 熱成形機の外観(左)と運ぶ手段を示した様子(右)
可搬型 熱成形機の開発(H28)の画像2
図2 操作画面
可搬型 熱成形機の開発(H28)の画像3
図3 成形品例