大学校及び設置科 港湾職業能力開発短期大学校 横浜校 港湾流通科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 物流概論、物流管理概論、安全衛生工学、ゼミナール(演繹法・帰納法・マーケティング等)
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

立体自動倉庫における震災対策について、調査していくプロセスにおいて、ヒアリング調査のスキル、仮説の設定と検証の方法、問題解決力、コミュニケーション力を養成します。    

製作の目的と概要

本課題では、阪神大震災の経験から得た知見が、その後の東日本大震災では活かせなかった理由を立体自動倉庫の現場見学および専門家へのヒアリング調査により明らかにするとともに、単に荷主の資産を守るだけでなく、震災後に必要な食糧・医療薬品などの物資を守り、供給の断絶を防ぐために、立体自動倉庫が常に集荷の拠点として機能をするための震災対策および防止策の研究をすることを目的としました。         

★技能・技術習得目標:
課題を通して、地震による被害の原因分析、実験結果の分析、問題解決・改善技術の習得を目標とし、文献で調査するだけでなく、実際に企業等でヒアリングを行うための事前準備調査スキルや実行時のコミュニケーションスキル習得に注力しました。

成果

立体自動倉庫における震災対策で、最も重要視すべきことは、荷の落下を防ぐことであり、そのためにはラックの揺れを抑制することが肝心であることがわかりました。地震によるラックの揺れを抑制する最も有効的な震災対策は、代表的なもので以下の3つの構造に識別されます。1)免震構造:地震の振動を受け流す、2)制震構造:地震の振動を吸収する、3)耐震構造:地震の振動に耐える。振動の軽減率・二次災害を避けるには「免震構造」による地震対策が最も有効であるが、コスト面から東日本大震災以降に一番需要があったのは2)の制震対策であることがヒアリング調査からわかりました。文献調査だけでなく、現場見学による観察や専門家へのヒアリング調査の重要性と、そのためのコミュニケーションの重要性が体感できました。    
                                                          ★アピールポイント: 学生のスキルアップに確実に寄与でき、卒業生の評価向上に繋がりました。地震の多い日本において物流倉庫の震災対策は不可欠であり、AIやIoTなどコンピュータや自動運搬機器の進歩と相まって、収納能力が大きい立体自動倉庫は、各メーカーが実験を繰り返し改善が進んでいます。単に荷主の資産を守るだけでなく、震災後に必要な食糧・医療薬品などの物資を守り、供給の断絶を防ぐという問題意識を就職後も持ち続け、震災後の物流を円滑に進めるためのキーパーソンとして期待できます。
立体自動倉庫における震災対策(H28)の画像1
図1 振動台実験状況
立体自動倉庫における震災対策(H28)の画像2
表1 減震構造3種の早見表(筆者作成)