大学校及び設置科 東海職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 未入力
課題に取り組む推奨段階 応用課程
課題によって養成する知識、技能・技術

ピン自動挿入機の開発を通して「ものづくり」の全工程を行うことにより、複合した技能・技術及びその活用能力(応用力、創造的能力、問題解決能力、管理的能力等)を習得しました。具体的には、解析を主体とした製品設計技術、モータ制御技術、画像処理技術等を複合的に活用した製品製造技術、製品設計製造情報のドキュメント作成及び管理技術などを習得しました。

製作の目的と概要

減速機製造企業から開発を依頼されたテーマです。減速機の組立工程において、人が行う作業を自動化し省力化することを目的に開発を行いました。ピン自動挿入機の開発を通して「ものづくり」の全工程を行うことにより、複合した技能・技術及びその活用能力(応用力、創造的能力、問題解決能力、管理的能力等)を習得することを目的としています。具体的には、機構設計技術、アクチュエータ制御技術、センサ技術及び通信技術等を複合的に活用した製品製造技術、製品設計製造情報のドキュメント作成及び管理技術などの習得を目標にします。また、企業担当者と学生達が設計開発の打ち合わせを行うことで、職業観や開発の意欲を高めます。

成果

企業担当者と学生達が設計開発の打ち合わせを定期的に行い、双方の要望や疑問点を話し合いながら仕様を決め、進捗状況報告などを行いました。また実際に工場作業者が外枠にピンローラを挿入する様子を見学し、作業分析を行いました。
外枠の置き方によるさまざまな挿入方法を検討しましたが、今回は縦置きと決定し、外枠を溝1ピッチ分ずつ回転させながら、マガジン部に32本セットした供給部からピンローラを掴み、持ち上げ、溝位置へ下ろし挿入していきます。外枠の回転機構は外枠を乗せるローラ部がステッピングモータにより回転し、摩擦により回転力を伝達しています。ピンローラの掴み機構には空気圧による吸着(バキューム)機構を、ピンローラの移動機構や供給部のシャッターにはエアシリンダを採用しています。また外枠が回転していくと、挿入したピンローラが落下していくため、C型の押さえを外枠内部に挿入し、落下を防いでいます。
ピンが正しい位置に挿入したかを挿入ごとにカメラ撮影により画像処理で判断し、誤挿入の場合はランプやブザーで作業者に知らせます。またカメラ調整用のソフトを開発し、作業環境の変更でもすばやくカメラの再調整できるようにしています。
仕様で決めた開始ボタン操作から110秒以内で挿入が完了することができました。今後は企業担当者に評価頂き、改善点を検討していく予定です。
今年度の成果としては、減速機部品の外枠と32本のピンローラを作業者が装置にセットし、開始ボタンを押すと外枠の32箇所の溝にピンローラを正しく挿入することができています。作業者の使用には安全性・保守性を考慮したシステム構築となっています。システム仕様に基づいた総合テストにより、正常な動作検証を確認できました。
ピン自動挿入機の開発(H29)の画像1
図1 装置外観
ピン自動挿入機の開発(H29)の画像2
図2 挿入機構部内部
ピン自動挿入機の開発(H29)の画像3
図3 ピン挿入機構