大学校及び設置科 沖縄職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 未入力
課題に取り組む推奨段階 応用課程
課題によって養成する知識、技能・技術

充電制御、インバータ制御の回路技術。マイコンを使用した制御プログラム技術。パワーエレクトロニクスに関する技術。発電機能を評価するための技術。機械加工技術。

製作の目的と概要

風力発電は、環境エネルギーの利用として、太陽光発電と共に注目されています。風力発電は、太陽光発電と比べ、昼夜を問わず風があれば発電が可能である点で優れています。現在、発電用に用いられる風車は水平軸風車(プロペラ風車)形がほとんどです。これは、風のエネルギーは風速の3乗とローター面積に比例し、風の持つ運動エネルギーの約50%を電力として取り出せる理論的裏付けがあるからです。しかしながら、この理論を背景とした電力を得るには、ローター(羽根)径による受風面積を大きくし、また上空の方の風が強い(ウィンドシェア)ことによる風車の大型化とそれを支える塔が高くなるのが条件となり、設置場所も限定されます。
最近では、設置場所を限定しない中小規模の風力発電の需要が増えているが、この中小規模の発電装置は地表近くに設置するため風が弱く、水平軸風車ではローター径が小さくなり十分な効率を得ることが出来ないのが問題となります。このような場合には多翼式垂直軸風車が用いられることが多いです。
本開発において、多翼式垂直軸風車と、蓄電を行う装置と、交流変換を行う装置を製作し、その動作特性を測定し、一定の成果を上げることができました。さらに、製品化を目指し、よりエネルギー変換効率がよく、かつ、強風に強い多翼式垂直軸風車装置の開発を行います。そして、蓄電を行う装置と交流変換を行う装置の更なる変換効率の向上、および、安定性、安全性の向上を目指し研究開発を行います。

成果

① 地表近くの風向と風速が安定しない場所でも風力を効率良く発電機に伝え、また、強風にも耐え得る多翼式垂直軸風車を共同研究先であるR社が開発しました。
② 台風などの暴風、強風対策として、ディスクブレーキを用いて風車を停止させる。その機構を製作し、風力発電実験用の発電機に取り付けて動作することを確認しました。ブレーキをかけている状態を機構部で維持できるようにし、モータで余分な電力消費がないようにしました。
③ 発電機からの電力を効率よくバッテリに充電する安定した充電制御システムの開発を行いました。損失の低減やノイズ対策に重点をおき、平均効率を90[%]近くまで上げることができました。また、発電機の出力電圧が20V以上なら充電できるようにしたので弱い風のときでも充電が可能となりました。さらに、デッドタイムやノイズ対策のフィルタ・スナバ回路を用いることで、入力電圧が急激に変化しても素子が壊れず安全に動作することができました。
④ バッテリから出力する直流電力を交流に変換するインバータでは主回路に2つのIPMを使用し、バッテリの出力48V(DC)を単相と三相の交流電力(AC)に変換した。単相3線式100/200Vと三相3線200Vの両方を出力する。
風力発電装置の開発(H29)の画像1
図1 システム構成図
風力発電装置の開発(H29)の画像2
図2 ブレーキ機構
風力発電装置の開発(H29)の画像3
図3 インバータ制御回路基板