大学校及び設置科 東北職業能力開発大学校 附属秋田職業能力開発短期大学校 生産技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 未入力
課題に取り組む推奨段階 専門課程
課題によって養成する知識、技能・技術

未入力

製作の目的と概要

 大館市には、忠犬ハチ公に代表される「秋田犬」や国の伝統工芸品に指定されている「曲げわっぱ」のほか、豊富な森林と鉱山を基盤とした産業の歴史など多彩な地域資源を有しているものの、情報発信や受け入れ態勢の整備が十分といえず通過型の観光地となっています。
 こうした地域資源を活かしながら、観光客から旅行の目的として選ばれる観光地域づくりを進めるため、平成28年には周辺市町村と共同により、地域連携DMO「(一財)秋田犬ツーリズム」を設立しています。
 あきた未来づくりプロジェクトは、交通の要衝であるJR大館駅前を市民と観光客の「観光交流拠点」と位置づけ、秋田犬に触れ合える施設「秋田犬の里」を核とした広場を、秋田県との協働により整備するもので、周辺市町村との連携強化による広域観光の推進や、海外からの誘客も視野に入れた受入れ態勢の整備を進めることにより、交流人口の拡大を図ることを目的としています。
 観光交流拠点の核である「秋田犬の里」の敷地内にある旧小坂鉄道の廃線を利用した「手漕ぎトロッコ」は、施設を訪れた家族連れの観光客などに直接線路上を走行させ、産業遺産に触れながら、楽しんでもらうための遊具として大館市役所と共同研究により2ヶ年計画で2台制作しました。

成果

【特徴】
・軽量化、対候性を考慮し、車体や主要部品などはアルミニウム、ボルト・ナットなどの締結部品は、ステンレス材を多用し、フレーム床は雨水などが溜まらないようパンチングプレートを採用しました。
・走行車輪は、軽量化を図ると同時に、鉄道レールを走行するときの臨場感を醸し出すため、内輪にアルミニウム材、外輪に一般鋼材(鉄材)を採用し二重構造としました。
・前後に走行可能となるよう、ハンドルを上下に操作し、揺動運動を回転運動に変換する「てこクランク方式」を採用しました。
・子供連れの家族(4~5人)を対象とし、複数人で楽しめるよう前後に木製の長椅子を配置しました。
・走行時の落車、滑落防止のため乗降口にはチェーン、車体全周に手摺りを設置しました。
・走行停止、スピード制御のため操作部近傍に2ヶ所ブレーキレバーを設置しました。
【成果】
・現地での試運転では、フレーム構造の強度、走行状態の確認ができ、大きな問題はなかったが、ハンドルの操作性、ブレーキの制御能力に問題が発生し、数回の改造を行いました。
・市役所側からは、令和2年7月下旬から11月上旬まで(土・日曜、祝祭日運行)の実績として、446組1356人/1台の報告があり、実走されたお客様からも“楽しかった”“また乗りたい”などの好評価を頂いています。
手漕ぎトロッコの設計・製作(R2)の画像1
図1 全景
手漕ぎトロッコの設計・製作(R2)の画像2
図2 駆動部
手漕ぎトロッコの設計・製作(R2)の画像3
図3 車輪