鉄筋コンクリート造躯体の鉄筋腐食に関わる劣化補修法の提案(H18)
大学校及び設置科 |
関東職業能力開発大学校 建築施工システム技術科 |
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 |
維持保全、RC造施工管理課題実習、施工法詳論 |
課題に取り組む推奨段階 |
劣化診断技術習得後 |
課題によって養成する知識、技能・技術 |
塩害、劣化、鉄筋腐食、補修、診断 |
製作の目的と概要
近年、コンクリート構造物の寿命として想定されている50〜100年という年数に比べ、10〜15年といった極めて早い時期に異常なひび割れが生じる早期劣化現象が見られるようになっています。その原因のひとつとして内部塩害があげられますが、今後ストック時代を目指すうえで、このような劣化因子を含んだ鉄筋コンクリート構造躯体の劣化補修が社会的な課題となります。そこで今回、内部塩害の劣化因子を含んだ屋外暴露試験体による実験結果から、劣化のメカニズムを解明したうえで、劣化速度を抑制し延命化を図るための効果的な補修法の提案を行ないました。
成果
実験結果から、コンクリート内の塩化物量が多くなると鉄筋腐食の進行が速まる事が確認できました。次に、断面修復部分の補修を行った場合、補修後の鉄筋腐食は、補修部分≦無補修部分≦境界部分と大きくなる傾向が見られました。また、断面修復材は、表面被覆材を施す場合でも、透過性が小さく腐食要因を遮断できる材料を用いることが必要であり、更には鉄筋防錆処理材を施すことで、鉄筋腐食の補修効果が向上することがわかりました。
結びに、断面修復部分の補修の際、鉄筋腐食部分及び裏側まではつりとり、鉄筋防錆処理材、断面修復材及び表面被覆材の組合せとして、ポリマーセメントペースト(SBR)+ポリマーセメントモルタル(SBR)+複層仕上塗材(防水形)を施す補修工法が、内部塩害を劣化因子とした鉄筋腐食に関わる効果的な劣化補修法であることを提案します。