大学校及び設置科 北陸職業能力開発大学校 生産技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 機械加工、測定、材料、力学、設計・製図、安全衛生
課題に取り組む推奨段階 機械設計製図、CAD実習、機械加工実習終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題制作を通して、計画、部品調達、加工、組立、調整、改良を実践することができ、主にメカニズム設計、機械加工技術の実践力を身につけることができる。

製作の目的と概要

 スターリングエンジンは密封された空気を動作機体とし、これを過熱することにより動作するエンジンです。加熱源の種類を問わない利点に加え、排気ガス等が排出されない環境に優しい外燃機関エンジンです。本課題では、スターリングエンジンを題材とし、加熱源を搭載したエンジンカーおよび搭載していないエンジンカーの2種類を製作しました。

成果

 今回製作した加熱源搭載スターリングエンジンカーと非搭載スターリングエンジンカーを図1、2に示します。加熱源搭載型エンジンカーは、全国大会(ノーマルクラス)の規定に基づき製作しました(図1参照)。主な課題点としては、?エンジン内の機密性を向上、?加熱ヘッドとピストンの干渉を見直し、?プーリとベルトの最良の位置合わせ、?加熱源を再調整、?駆動部(T型リンクからシャフトへの動力伝達)をスムーズに調整とし、各項目において課題がクリアできました。
 加熱源非搭載型エンジンカーは、全国大会(ミニ宙返りクラス)の規定に基づき製作しました(図2参照)。表1に示すようにα型スターリングエンジンの膨張ピストン周辺は、?加熱器、?連結板、?シリンダカバーの順序で形成されています。また、各部品の間に不燃性のパッキンが挟み込まれており、この部品点数の多さが、接合部分を増加 → 膨張ピストン内部の気密性の低下 → エンジン出力の低下を引き起こすと原因であると考えました。改善後、部品点数の低減を狙って、「一体型加熱器」を設計製作しました。結果、接合部分が無くなったことによって気密性は向上し、加えて部品数が減少したことにより、大幅な軽量化も達成できました。
α型スターリングエンジンカーの設計・製作(H19)の画像1
図1 加熱源搭載スターリングエンジン
α型スターリングエンジンカーの設計・製作(H19)の画像2
図2 加熱源非搭載スターリングエンジン
α型スターリングエンジンカーの設計・製作(H19)の画像3
表1 スターリングエンジン改良点