大学校及び設置科 九州職業能力開発大学校 生産技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 安全衛生、機械加工、測定、材料、力学、設計・製図
課題に取り組む推奨段階 機械設計製図及び機械加工実習終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、主にメカニズム設計及び機械加工技術の実践力を身に付ける。

製作の目的と概要

 現代の日常生活において、金型を用いて製作されたプラスチック製品は数多く溢れています。生産技術科においては、金型設計・製作に特化した授業展開はしていません。しかし、授業内容はそれに関する内容が多くあります。学生が学習している内容がいかに世の中に重要な技術であるかを認識させることを目標の一つとして今回のテーマを設定しました。プラスチック射出成形金型の設計・製作を通して金型の基本構造、その製作技術を習得し、また、プラスチック射出成形機を用い成形させることにより設計から製品化までの一連の流れを理解することを目的とするものです。

成果

 今回の加工では荒加工は汎用フライス盤で行い、仕上げ加工は縦型マシニングセンタを使って加工しました。機械加工自体は形状的に難しいものはありませんが、組み立て時の用途によりはめあわせ方式が異なるため、それぞれに応じた加工精度が求められるものでした。また、加工素材、工具等も通常の授業で使用するものと異なっており、それらの特性を理解し、加工条件等の設定を検討することで加工ノウハウの蓄積ができました。
 テスト成形により金型の不具合を抽出して金型の修正加工を行い、また成形条件を変えて、最適成形条件を求める作業を通して、成形品を完成させるということの重要性と充実感を体感させました。
 それぞれの部品加工が金型の性能を左右する重要な要因であることをメンバー全員に理解させた上で、最適加工方法を想定し、工程計画を決定しました。この工程計画に沿って、メンバーを小グループに分け、それぞれの担当毎に進めました。この過程で、各メンバーで加工と製作物の検証(計測)を繰返し行い、発生した不具合に関してはメンバーで討議してその要因を明らかにしながら進めました。
 この課題における一連の取り組みを通じて、学生の様々な工夫が盛り込まれ、その後の加工作業についても、率先して思考し、作業を行い、検証することを各人で行いながら、頻繁に意見交換し、製作していく姿が見られました。このことから、技術の向上のほかに、コミュニケーション能力や調整能力、リーダーシップ能力の向上につながったと考えます。
 今回の課題では金型の設計・製作だけでなく成形して製品化するまでの取り組みを行ったので、自分たちが今まで学習してきた「技術・技能」の結果がよりはっきりと確認できたと思われます。
プラスチック射出成型金型の設計・製作(H19)の画像1
図1 糸巻きホビン