大学校及び設置科 職業能力開発総合大学校 小平キャンパス 建築科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 在来軸組架構施工技術、構造力学、構造設計?、建築材料・構造実験
課題に取り組む推奨段階 建築施工実習?、構造力学?・?、構造設計?、建築構造実験終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、構造力学・設計・構造実験等に関する総合的な理解力が向上する。

製作の目的と概要

 建物の構造安全性の検討を行う上では、建物に作用する外力により部材に生じる応力を精度良く評価することが重要です。しかしながら、在来軸組構法の建物については、実際の部材の応力分布が構造計算の応力値と異なる傾向を示すという報告がなされています。
 本研究は、在来軸組構法による縮尺1/3の2層立体架構に対して鉛直力及び水平力を作用させた場合に、柱及び筋かいに生じる応力の伝達メカニズムを実験的に調べることを目的としています。
 平面形状は1200mm×2400mm、階高は1,2階ともに900mmの立体架構について、柱及び筋かいの配置を変化させて、鉛直及び水平加力実験を行いました(図1参照)。柱及び筋かいに貼り付けたひずみゲージを用いて、柱及び筋かいに生じる軸力を調べました。

成果

 図2及び図3には、それぞれ、鉛直加力試験及び水平加力試験より得られた部材軸力の分布が例示してあります。2層軸組立体架構を対象とした鉛直及び水平加力試験より、明らかになったことをまとめると次のようになります。
(1)鉛直力が作用する場合の柱軸力の分布について、実験値と構造計算により算出される値の傾向は、概ね一致する。
(2)横架材にモーメントの伝達を妨げる継ぎ手がない場合、既存の構造計算手法により算出される柱の軸力分布は、実験値を的確に捉えていない。
(3)耐力壁の両側の柱軸力は、筋かいの配置方向に依存し、筋かいの配置方向から決まる両側の柱の応力分布の傾向を示した。
2層在来軸組架構における応力伝達メカニズムに関する実験的研究(H19)の画像1
図1 試験状況
2層在来軸組架構における応力伝達メカニズムに関する実験的研究(H19)の画像2
図2 鉛直加力試験による柱軸力の分布(PLAN-A)
2層在来軸組架構における応力伝達メカニズムに関する実験的研究(H19)の画像3
図3 柱・筋かいの軸力分布 AH01