大学校及び設置科 関東職業能力開発大学校 附属千葉職業能力開発短期大学校 住居環境科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 構造力学、建築材料、建築施工実習?
課題に取り組む推奨段階 建築施工実習?(鉄筋コンクリート配筋、及び型枠)終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

本課題に取り組むことにより、製作物を完成させるために必要な工程管理能力、型枠やコンクリートの質を見極める品質管理能力、周辺環境を考慮した揚重計画など、一連の作業において段階的に評価を行うことで総体的な管理手法を習得させることができました。

製作の目的と概要

 本課題では、ものづくりという視点で見た実習課題における集大成として、RC造構築物のグループ課題製作に取り組みました。昨年度に実施した建築施工実習課題から本課題に至るまでの過程を下記に示します。
・1年2期から2年6期:建築設計実習 各種制約条件を満足する建築物を性能、施工性を考慮し具体化したものを図面展開する。
・1年4期:鉄筋施工実習 RC構造物の基礎(フーチング、基礎柱、基礎梁、最下階柱)の鉄筋施工を行う。
・2年6期:RC施工実習 RC梁を課題に型枠、鉄筋、コンクリート打設及び製作物の構造性能評価を行う。
 以上の実習の流れを踏まえて、その応用となる課題の検討と評価を行いました。

成果

 今回行った実習ポイントとその評価は以下のとおりです。
・形状決定と設計
「椅子」という言葉で表される抽象的なものを学生全員が座り心地に重点を置いた「椅子」として人間工学を基に数値化し、そこに至るプロセスを習得することができました。
・構造の安全
当然不特定多数が利用することから、思いもよらない使用が考えられます(例えば、背もたれの上に立つ等)。このようなことを想定し、力学的安全性を確認することができました。
・型枠・鉄筋の加工組み立て
型枠は実務同様転用(複数回の使用)することとし、何が転用できないか、また、どのような形で組み合わせればより転用がし易いかを確認できました。
・コンクリート打設
コンクリート構造の有用性の一つに一体成型であることが挙げられます。
ただし射出成型などと異なり、材料は重力による充填となるため充填性を考慮した生産計画と目視不可能な充填状況の確認手法を身につけることができました。
・設置・仕上げ
設置場所の調査と位置の確定(測量実習で扱った測量機器を使用)するための水盛り・遣り方を実務同様で行いました。また、仕上げにおいては構造体製作段階において仕上げを考慮することの重要性と生産計画の評価を確認することができました。(図1)
鉄筋コンクリートによるベンチの製作(H19)の画像1
図1 実習風景