大学校及び設置科 沖縄職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 機械加工、設計・製図、アナログ電子回路設計、ディジタル電子回路設計、コンピュータ応用実習、リアルタイムシステム構築技術、計測制御システム構築技術
課題に取り組む推奨段階 各系(機械、電気・電子、情報)の標準課題終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

機械系:製品開発における筺体デザインの設計・製作技術、精密機器の設計・製作技術、電気・電子系:電子機器の設計・製作、コンピュータ応用製品の設計・製作技術の応用力、情報系:ものづくりを中心とした製品開発におけるプログラミング技術の応用力

製作の目的と概要

 三線(サンシン)は沖縄の伝統楽器であり、近年三線の需要が全国的な広がりを見せています。三線の楽譜である工工四(クンクンシ)は独特の表記法であり初心者には難解であります。また三線は楽曲によって調弦が必要であり初心者にとって三線を演奏する場合の最初のハードルになっています。さらに三線は弦を指で押さえる勘所の位置が特定しづらいため初心者は感を頼りに勘所を特定しないといけません。以上の事から三線は初心者にとって学びにくい現状があります。
 本課題はこのような三線の学びにくい現状に鑑み、初心者でも一人で楽しく三線を演奏できる三線練習支援装置として開発したものであります。組込みコンピュータを使用して電子楽器として、三線の開発を行いました。組込みマイコンとのインタフェースにはMIDI規格を使用しました。

成果

 本システムは三線部とコントローラ部から構成されています(図1、図2参照)。本システムはコントローラ部のモニタ上へ楽曲の工工四を表示し現在演奏している音の工工四と次に演奏すべき音の工工四を演奏者の楽曲の進行に応じて表示すると同時に本システムの三線部の棹の各勘所に配置した2色のLEDにより現在押さえるべき勘所の位置(赤色LEDで表示)および次に押さえるべき勘所の位置(青色LEDで表示)を楽曲の演奏の進行に応じてLEDを光らすことによってユーザーの三線演奏を支援します。また楽曲の種類に応じて調弦の種類をモニタ上から選択できるので、演奏者は調弦が不要になります。
 図3に本システムの構成図を示します。通常の演奏時は、三線部の棹の勘所スイッチが押された状態を示すSW信号と、弦を發弦したときの弦信号とから対応した音信号を音源ICへ出力し発音します。音源ICには、各勘所の音をあらかじめ録音しておき、演奏情報に応じて各勘所に応じた音を出力します。
 自動演奏時には、演奏する楽曲の演奏情報データをあらかじめ組込みマイコンに保存しておき、演奏の進行に応じて演奏情報データにより勘所データを制御部へ出力し音源ICから発音します。同時に、制御部はLED信号により棹の指板部の勘所用LEDを発光させます。
電子三線の開発(H19)の画像1
図1 三線部
電子三線の開発(H19)の画像2
図2 コントローラ部
電子三線の開発(H19)の画像3
図3 構成図