大学校及び設置科 関東職業能力開発大学校 建築科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 構造力学、材料実験、構造実験、木質構造設計、建築施工、安全衛生
課題に取り組む推奨段階 構造力学、材料実験終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、主に木質構造設計、耐震診断等の知識・実践力を身につける。

製作の目的と概要

 現在、地球環境破壊などの観点から既存木造住宅は取り壊して建て替えようというより、少しでも長く持たそうという考えがあります。そのことからリフォームや増築が盛んであり、リフォームや増築を行うことで、より良い生活ができます。しかし、そのことにより建物のバランスが崩れ、耐震性を損なう恐れがあります。その解消のため、木造住宅には耐震診断があり、その手法には一般診断と精密診断があります。また耐震診断結果により「倒壊する可能性が高い」と判断された木造住宅についての耐震補強方法は、未だに少数の方法しか存在しないのが現状です。このような中、2007年7月16日に新潟県中越沖地震が発生し、この地震により多数の既存木造住宅が倒壊し、大きな被害となりました。そこで、新潟県中越沖地震の震害調査のため現地に向かい、被害の状況や耐震診断によるデータの収集を行いました。その結果、昭和56年以前に建設されたと思われる木造住宅であっても、現存している木造住宅も多く存在しました。
 そこで今回、新潟県中越沖地震における、現地の震害状況の調査及び耐震診断を行い、そのことから木造住宅の耐震診断手法と耐震補強方法の検討を行うことを目的としました。

成果

 今回の調査・検討により以下の3点が明らかになりました。
■耐震診断で倒壊する可能性が高いと診断されても、実際は倒壊していない物件もあり、診断法の見直しが必要であると考えられる。
■面格子建具を用いることによって、倒壊を防ぐことができると考えられる。
■正確な耐震診断と無駄のない補強方法が確立されれば、耐震改修を普及させることができる(図1、2に試験状況を示します)。
新潟県中越沖地震からみる既存木造住宅の耐震診断手法及び耐震補強方法の検討について(H19)の画像1
写真1 被害家屋その1
新潟県中越沖地震からみる既存木造住宅の耐震診断手法及び耐震補強方法の検討について(H19)の画像2
写真2 被害家屋その2
新潟県中越沖地震からみる既存木造住宅の耐震診断手法及び耐震補強方法の検討について(H19)の画像3