大学校及び設置科 北陸職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 安全衛生、生産管理、品質管理のほか、機械系(機械製図、機械加工、CAD/CAM、精密加工、精密測定、溶接)、電気・電子系(アナログ電子回路設計、マイコンシステム設計、センシング)、情報系(プログラミング、計測制御、組み込みシステム開発)
課題に取り組む推奨段階 各科応用課程2年次、標準課題修了時
課題によって養成する知識、技能・技術

安全衛生、生産管理、品質管理、ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルのほか、機械系(機械製図、機械加工、CAD/CAM、など)、電気・電子系(アナログ電子回路設計、マイコンシステム設計、など)、情報系(プログラミング、計測制御、組込みシステム開発、など)

製作の目的と概要

 本開発課題では、実際に介護施設や福祉機器販売店を訪ね、電動車いすの利用状況や要望などについて調査を行いました。その結果、ほとんどの電動車いす利用者は外出する際、電動車いすを乗用車に載せて目的地へ移動することがわかりました。そこで、以下の特徴を持った電動車いすを開発しました。
・軽量化し、折りたたんで乗用車に積載できる
・走行性能を重視し、段差乗越え能力を高める
・ジョイスティックによる操作
・ゲーム機(Wii®)リモコンによる遠隔操作の実現
・音声による操作の実現
・速度表示、音声ガイダンス機能

成果

 今回開発した電動車いすを図1、基本仕様を表1に示します。車体の設計においては、凹凸や段差での安定した走行ができるように、前輪のタイヤ幅を広くし、前輪、後輪の両方にサスペンションを付加しました。車いす駆動用のモータには、折りたたみ機構と車体の軽量化の両方を実現するために、インホイールモータを採用しました。
 なお、折りたたみ機構にはダブルブレース式を用いています。
 車いすの操作は、ジョイスティック、マイクおよびリモコンにより行うことができます。車いす全体の制御はH8®マイコンで行い、ジョイスティックの傾き具合からモータをPWMで制御します。マイクによる操作は、取り付けた小型パソコンで音声を認識し、シリアル接続でH8®マイコン と通信して実現しています。リモコンにはゲーム機リモコンを用いています。リモコンで制御するために、LinuxのUSBドライバとBluetoothプロトコルスタックをH8®マイコン用に移植し、直接H8®マイコンから制御しています。
 細部においては当初の仕様すべてを満足させるまでには至りませんでしたが、車載可能であること、段差乗越え能力の強化、ジョイスティック等の多彩な操作方法など、当初の目的をほぼ達成することができたと考えています。
付加機能を持った電動車いすの開発(H19)の画像1
図1 電動車いす外観
付加機能を持った電動車いすの開発(H19)の画像2
表1 基本仕様