大学校及び設置科 近畿職業能力開発大学校 附属滋賀職業能力開発短期大学校 住居環境科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 知識:建築構法、建築施工、環境工学 技能・技術:建築施工実習?、建築施工実習?、建築設計、コンピュータ基礎、建築積算、環境工学実験
課題に取り組む推奨段階 建築施工実習?・?、環境工学実験終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、主に組積造及び木造軸組構法の材料や構造、積算などの知識を習得するとともに、施工技術に対する実践力を身に付けます。また、建築物の環境性能に関する温熱環境に対しての測定方法や評価手法をより深く習得します。

製作の目的と概要

近年地球環境の悪化等により、環境問題への取組が多くの分野において求められています。特に建築分野における対応策の一つとしては、断熱性能の高い建築物を普及させ、冷暖房にかかるエネルギー負荷の低減や効率的な運用が必要だと考えられています。そこで、熱効率が優れていることから、寒冷地での施工事例の多い組積造(以下RM造とする)に注目しました。ただし、このRM造は施工事例が少なく、その性能面での評価は未知数なところが多いといえます。
そこで本総合制作実習では、RM造と木造(軸組構法)の模擬実験棟制作をとおして、施工方法や各種材料の把握、各種専門技能・技術の習得、工程管理・積算手法などについて学びます。また、それらの実験棟を用いて温湿度の測定を行い、断熱・調湿性能について把握・評価することを目的とします。

成果

今回の総合制作実習課題について施工及び実験を通して得た成果は下記の通りです。
1)模擬実験棟の制作(RM造及び木造の施工技術の習得)
 模擬実験棟の制作をとおして、それぞれの工法についての施工手順や施工方法、各種名称の把握、材料の選定、工程管理、積算手法などを学びました。特に、細部まで実際の建物に近い仕様としたことや、計画・設計から施工までの一連の作業を通して行ったことにより、実践に即した施工技術の内容が概ね把握できたと考えています。
2)環境性能の実験(RM造及び木造の環境性能の把握)
実験を通して、実験機器の使用方法や温熱環境に関する評価方法、分析手法などを学びました。特に工法による温熱環境性能の違いを知ることができました。
具体的には実験結果より、RM造は木造に比べ室内が温まるまでに時間を要するが、一度熱や湿度を加えると外気の影響を受け難く、温度、湿度を長時間保つことがわかりました。
組積造の環境性能に関する基礎的研究 〜断熱・調湿性能による評価〜(H20)の画像1
写真1-1 模擬実験棟(左:RM造、右:木造)