大学校及び設置科 九州職業能力開発大学校 建築科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 構造力学?・?、構造設計?・?・?、建築材料?・?、建築設計製図?・?・?、建築施工実習?、建築材料実験、コンピュータ基礎
課題に取り組む推奨段階 構造力学、構造設計および建築設計製図関連実習終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

制作課題を通して、主に限界耐力設計法を用いた構造設計技術及び構造設計業務の知識を身に付けます。

製作の目的と概要

平成12年に建築基準法等の改正によって、新たに規定された限界耐力設計法は、伝統的な建築物にも適応できることから、注目を集めているにもかかわらず、従来の仕様規定による構造設計と比較すると、検証方法も難解であることから、まだ充分に普及したとは言い難いのが現状です。このような状況の下、某設計事務所より1150年大祭の復興事業の一つとして、能舞台新築工事に係る構造設計の依頼がありました。この建物は、材料に築100年を超えた古民家に使用されていたものを再利用する計画となっている上に、能舞台という用途上の制約から筋かいなどの耐震要素を配置することができないため、構造計算が困難で建築が難しい状況でした。
そこで、本依頼に対応すべく、構造設計を行うにあたって性能規定の一種である限界耐力設計法を採用することで依頼のあった建築物の安全性を検証できる計算ツールの制作と設計に必要な資料作成を同時に行い、これを用いて依頼のありました能舞台の実設計を試みることを主な目的としました。

成果

今回の課題は、地元設計事務所の依頼を受ける形で、実設計に応用できる構造計算ツールを試行錯誤することによって制作しました。計算ツールを制作する過程の中で、計算方法の知識の習得はもとより、実際に意匠設計者の意向を構造計算という形で反映しました。また、学校教育の中で軽視されやすいコストとの兼ね合いを考慮しました。様々な制約条件を解決しながら建物をどのように建設していくのかを実体験に基づいて実習できたことが最大の成果です。さらには、この建物の設計・建設によって地域に対して微力ながら貢献でき大学校の存在感を示したことも成果の一つです。
限界耐力設計法による実設計および資料作成(H20)の画像1
図1 竣工写真