大学校及び設置科 九州職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 共通:安全衛生管理、生産管理、品質管理 機械科:CAD/CAM、機械設計、精密加工、計測制御、自動化機器 情報科:ネットワーク、プログラミング、データベース
課題に取り組む推奨段階 複合技術になるため、課題の前提となる科目の学科及び実技の終了後が望ましい。
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して創造力、企画・開発力、技術連携力を養い、各専門分野の能力の向上を図ります。同時に安全衛生や工程管理・品質管理を通して”ものづくり”の実践力を身に付けます。

製作の目的と概要

近年の製造業界では、市場のグローバル化に伴い、短納期大量生産化への対応が要求されています。例えば、ノキアの携帯電話は、1ヵ月に1000万台を生産した実績が報告されています。他にも、ノートパソコンやゲーム機等、短期大量生産に対する要求がありますが、現在の日本の製造現場では、このような短期大量生産への対応に苦慮しています。このような背景から、(株)タック技研工業との共同研究として、平成16年度から2主軸(加工部)を持つ独立駆動型タッピングセンターの開発を行ってきました。平成18年度には、製品化を目指しMTC(NC Multi-Spindle Tapping Center)を開発し、平成19年度には、FMS対応機能として、ATC(Automatic Tool Changer、図2参照)、APC(Automatic Pallet Changer、図3参照)、自動切屑排出装置の開発を試みました。
今年度は、これらの機能の完成と、それらを容易に利用可能とするための制御・ソフトウェアの完成を第一の目標としました。この具体的課題として機構部、その制御と組込ソフトウェアを担当する制御部、その他パソコンアプリケーションを構築するソフトウェア部に区分し取り組みました。
第二目標として、FMS対応機能を有効に利用するため、更なる連携機能を検討し、高速加工の可能性を検討します。
加えて、MTCは製品化試作機であり、システムの完成と共に、製品化に必要な各種情報をまとめ、企業に報告することも目標の一つです。

成果

第一目標であるFMS対応機能については、自動切屑排出装置を除いて、機構部・制御部ともに動作確認まで達成しました。自動切屑排出装置については、3月に組立調整を行い、企業へ提供可能な状態に調整します。これらを取り巻く、パソコンアプリケーションについても、オプション機能のツール管理・寿命管理システムを除いて、基本機能は動作し、確認できています。以上の取り組み・設計情報について、各担当でまとめ、企業に報告書として提供する予定になっています。
第二目標とした他加工機との連携制御については、次の通りです。機構・制御部分としては、APCの完成・制御プログラムの自動生成まで行い、パレットベースによる加工連携は可能になりました。連携制御の効率化については、調整・構想段階です。MTCをベースにした加工についての並列化・高速化については、MTC制御システムの構築まで行いました。24時間運転に必要な機能の提供は達成しましたが、MTCの高性能化による2倍程度の高速化しか対応していません。既存加工システムを含めた並列・分散加工による加工機連携システム提案までは達成できませんでした。
NC加工機連携制御システムの開発(H20)の画像1
NC加工機連携制御システムの開発(H20)の画像2
NC加工機連携制御システムの開発(H20)の画像3