大学校及び設置科 九州職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 シミュレーション技術(流体力学)、機械製図、CAD/CAM技術、精密加工技術、アナログ/デジタル電子回路設計技術、センサー応用技術、計測制御技術、デジタル信号処理技術、電磁場解析、リアルタイム制御技術、情報通信技術
課題に取り組む推奨段階 上記「課題実習の前提」となる科目の学科及び実技の終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

本課題を通して、設計から組み立てまで、一貫した物作りに関する技術、また関連する知識・技術を身に付けます。

製作の目的と概要

地球内部を発生源とする災害の未然検知を最終目的として、目で見ることのできない地球内部を可視化する試みが、地震波動や電磁場変動を用いて行われつつあります。しかし、現在の大きな問題点は、複雑で活発な海流のある浅海域では観測が困難なことであり、現在、浅海での観測を実現するための研究開発が行われています。この状況下、我々は沿岸域から大陸斜面までの水深500m以下の海底において、数ヶ月の長期間に渡り自然電磁場変動を観測する長周期型機器(OBEM:Ocean Bottom Electro-Magnetometer:海底電位磁力計)の開発に取り組み、山陰地方の地震活動の源と考えられている海域で観測を行い(図1)、当該地域の防災対策に役に立つ基礎データを取得し、その有用性を実証しました。さらに、広帯域化を図るため、短周期(数Hz〜数100Hz)信号を計測する自律型海中ロボット(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)の開発にも着手しています。

成果

図2に示す島根沖、及び、鳥取沖日本海で、京都大学防災研究所と海洋研究開発機構等との共同観測を6月から8月までの約2ヶ月間実施しました。我々が開発した長周期型観測機器KPC−OBEは、気象庁舞鶴海洋気象台の清風丸(484トン)で水深〜150m、70mの地点に設置しました。その結果、水深100m程度の浅海においても良好な電場データが取得でき、観測地点下200km程度までの構造を推定しました。これにより、我々の海底電位差計KPC-OBEの性能を実証し、実用段階まで到達しました。さらに、本年度からは、浅海域において短周期の自然電磁場信号を計測するための機器開発にも着手し、水深200mまでの耐圧性を有するアルミ製耐圧容器を本体とする自律型海中計測ロボット(AUVEMM:Autonomous Underwater Vehicle for Electro-Magnetic Measurement)の基本部分の開発が終了しました。
浅海用AUVの開発(H20)の画像1
図1 投入前の機器KPC-OBE
浅海用AUVの開発(H20)の画像2
図2 共同観測地点