大学校及び設置科 北陸職業能力開発大学校 制御技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 安全衛生、機械加工、材料、力学、設計・製図、メカニズム、メカトロニクス工学、センサー工学、機械制御、シーケンス制御、油圧・空圧制御、マイコン制御
課題に取り組む推奨段階 機械設計製図及び機械加工実習終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、主にメカニズム設計、機械加工技術及び機械制御技術の実践力を身に付けます。

製作の目的と概要

 生産ラインにおいては、コンベアを用いた生産が効率的です。しかし、産業用ロボットを使用して、コンベア動作による作業を行う場合、比較的精度を要求しない作業に限定されてしまうため、組み付け作業を行うことは困難です。これは、コンベア上を動くワークに対しロボットアームに取り付けられたツールとワークとの相対関係の精度を必要とする組み付け作業では、コンベア同期機能を使ったとしても、その精度が十分ではないため、ワークに組み付けるという作業が正確にできないためです。そこで、この精度の問題を画像処理によって補い、組み付け作業を可能とするツールの設計・製作をテーマとしました。
 組み付け作業ツールの概要としては、まずコンベア上を動く主ワークをカメラで検知し、画像処理によりその位置を把握します。次に組み付け位置とのズレ量を求め、ツール駆動部の動作によりツールが把持するワークを左右に動かしてズレ量分を補正します。これを何度か繰り返し、ズレがなくなったところで、組み付け作業を実行します。

成果

 今回作成した組み付け作業ツールを図1に示します。本機は、ワークを把持するハンドをとりつけたワーク把持部、そのワーク把持部を上昇・下降動作させる直動部、ワーク把持部及び直動部を左右に移動させる駆動部、カメラ画像によりワークの正確な位置を検出する画像処理部および、これら4つの動作を制御する制御部の計5つから構成されています。本機での実際の作業内容は、把持部でワークをチャッキングし、コンベア上を動く別の主ワークに組み付けるという作業です。
 組み付け作業システムを図2に示します。本システムにおいて、この作業内容を実現することができました。本ツールは、従来では対応が困難であった産業用ロボットによるコンベア動作作業における精度の必要な組み付け作業を可能としました。これより、本機器が生産効率という点において、大いに有益な内容のものであると考えられます。
コンベア動作に対応する画像処理による組み付け作業ツール設計・製作(H20)の画像1
コンベア動作に対応する画像処理による組み付け作業ツール設計・製作(H20)の画像2