大学校及び設置科 近畿職業能力開発大学校 建築施工システム技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 鉄筋コンクリートの構造施工、施工実験、建築生産環境、建築生産管理、安全管理
課題に取り組む推奨段階 鉄筋コンクリート構造施工・施工管理課題実習(標準課題)終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、コンクリート施工、住宅基礎の配筋、施工の効率化、型枠ユニットの開発力等を身に付けます。

製作の目的と概要

住宅などの小規模建築物の基礎は、木造を主体とする施工体制では、施工も容易ではなく、十分な経験も必要です。
現在、住宅の基礎は、基礎工事専門の業者に外注するケースが一般的ですが、施工管理不足によるトラブルも多く見受けられます。2008年2月には20年ぶりに「小規模建築物基礎設計指針」が改正され、施工管理についても言及されています。
今回の開発課題は、次世代型外断熱型枠材として住宅基礎の施工性の向上を目標に、熟練者でなくても施工可能で、地球環境を配慮した断熱性のある型枠で、バラシの必要のない断熱基礎型枠ユニット(写真1)を開発することにしました。

成果

熟練者でなくても施工可能という課題に対し、ユニットを並べ、鉄筋を差込んでいく方式を考え、改良を試みました。改良のポイントはタイバー(型枠パネルを繋ぐパーツ)にあり、素材、形状、加工等、かなり時間を費やし、一定の結果を出すことができました。
写真2は、べた基礎でコンクリート1回打ちを想定し、コーナーの立ち上がり部分を試作したものです。
今回の課題に対し、鉄筋及び機械式継ぎ手の性能、コンクリート内にタイバーとしてポリプロピレンが入ることによる強度への影響、側圧等の確認実験を行いました。学生にとっても開発するということは、性能面においても一つ一つ検証が必要であり、開発していくことの大変さを認識できたのではないかと考えています。
今後の課題として、タイバー形状と種類のスリム化、様々なモジュールへの対応、アンカーボルト、ホールダウン金物の固定化への対応、実際の工事レベルでの施工性の検証等をクリアしていく必要があると思われます。
断熱基礎型枠ユニットの開発(H20)の画像1
写真1 断熱基礎型枠ユニット
断熱基礎型枠ユニットの開発(H20)の画像2
写真2 コーナー部分の完成