大学校及び設置科 近畿職業能力開発大学校 建築施工システム技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 木質構造施工・施工管理課題実習、構造解析、応用構造解析、安全衛生
課題に取り組む推奨段階 構造解析終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通じて、製品開発に必要な創造力・協調性・調整力を養います。

製作の目的と概要

近年、大阪府において「生活環境に影響する振動障害」が数多く報告されています。それらの報告の中で木造在来軸組工法の住宅に着目し、振動対策となる制振ダンパーの開発を行いました(図-1)。本制振ダンパーを施した住宅については、振動の低減により、住民の不快感はある程度改善することが可能となります。
一方、本制振ダンパーによる振動の低減工法の設計は、動的解析により行わなければならないため、現在、木造住宅における補修・補強工事を主として担当している中小工務店にとっては実施不可能な状況にあります。そこで、中小工務店で実施できる制振ダンパーによる生活環境に影響する振動の低減対策法を構築することとしました。

成果

成果物を以下に示します。
?.簡易設計法
建物本体の剛性と取り付けた制振ダンパーの剛性から、建物全体の等価減衰定数Heqを算定します。
求めたHeqから、応答低減率Fhを算定します。
現地で計測した最大絶対応答加速度Y0に応答低減率Fhを掛けて目標加速度値以下であることを確認します。
?.施工手順マニュアル
木造在来軸組工法に本制振ダンパーを施工する際の手順及び仕様(図-2)を明記したマニュアルを作成しました。本課題が単純な解析や製作ではなく、具体的な目標を持った開発であったことから、随所に学生の創意工夫を織り込むことができました。結果として、開発課題は企業との協同による製品開発が「ものづくり」の実地体験となることから、訓練効果大といえます。
生活環境に影響する振動の低減対策(H21)の画像1
図-1 制振ダンパー取付状況
生活環境に影響する振動の低減対策(H21)の画像2
図-2 制振ダンパー仕様