大学校及び設置科 関東職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 機械系は、機械設計技術、機械加工技術、超精密加工技術、CAD/CAM技術など。電気電子系は、PLC利用技術、プリント基板設計技術、アクチュエータ利用技術など。情報系は、画像処理、ネットワークシステム設計、統合生産管理システム、リアルタイムシステムなど。
課題に取り組む推奨段階 機械系、電気電子系、情報系ともに標準課題終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、従来の加工環境とは異った先端技術である超精密加工技術ならびに微小領域での材料の挙動、併せて「ものづくり」の全工程の生産管理を主体的に行う複合化した技術、技能及びその活用能力の実践力を身に付けます。

製作の目的と概要

産業機械の分野では、機械部品やシステム全体のマイクロ化が技術的にひとつの大きな流れとなっています。半導体の高集積化に対応した製造装置の微細加工への要求などが挙げられます。本校では先端技術である超精密加工技術の理解と習得をもとに、これまでに開発課題で超精密位置決め可能なマイクロステージを製作しました。次のステップとして、加工した微細な部品の保持や移動を可能にする超精密加工用のマイクロハンドの開発が必要となり、そのためのマイクロハンドの開発を行っています。開発した装置の目標仕様を次に示します。
 ?0.1 mm立方の対象物を保持・移動・置く
 ?装置のスムーズな動作
 ?装置の小型化
 ?動作の自動化

成果

保持対象物が微小なために目視での操作は困難であり、そのために上面・横面からのレンズを通した観察部を設け、保持動作を確実なものとしました。ハンドは動作終了時には機械原点に戻り、そこから対象物の位置情報をレンズを通して検出し、自動的にハンドが対象物まで移動動作を開始するようにしました。ハンドの微細な開閉にはバイオメタルファイバーを利用することで、装置の小型化・軽量化を図ることができました。
装置は機構部・ステージ部・ハンド部・観察部の4部で構成されていますが、それぞれの動作精度が表1に示すように通常の精度と比較すると高精度であるために、確実な動作とその検証には苦労を要しました。
微小な物体を保持するためには通常では考えることの無い問題、たとえば環境の清浄度や静電気の対策など多くのことを学生は学ぶことができました。
マイクロハンドの開発(H21)の画像1
写真1 開発したマイクロハンド装置
マイクロハンドの開発(H21)の画像2
表1 装置性能