大学校及び設置科 職業能力開発総合大学校 小平キャンパス 環境化学科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 有機化学・有機化学実験?・有機化学実験?・機器分析法?
課題に取り組む推奨段階 2年生後期
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、応用的な有機化合物の合成方法に関する知識と技術を身に付けるとともにグリーンケミストリーの知識も身に付けます。

製作の目的と概要

近年、廃棄物を出さない・原料を効率的に使用する・人体及び環境に負荷をかけない・全工程における省エネルギー化など12項目に及ぶ事項を念頭に置いたグリーンケミストリーによる化学物質の合成方法が検討されています。
従来から実習課題として取り組んできた芳香族炭化水素などの有機物質の包接能力や金属認識能力を有するカリックス[4]レゾルカレン(以下CRA)は、一般的にアルコール溶媒中で酸触媒下長時間加熱により合成されるので、反応溶媒が廃棄物となり、また、加熱用エネルギーを多量に使用するなど問題点があります。そこで、本年度の実習課題としては、無溶媒反応によりCRAを合成する手法を確立することにより、グリーンケミストリーを職業訓練教育に盛り込むことを目的としました。その結果、通常合成法に比べ合成時間を大幅に短縮することができただけでなく、常温での反応が可能となりエネルギー的にも省エネ化することができ、グリーンケミストリーの概念を身につけることが可能な実習となりました。

成果

フェノール類であるレゾルシノールとベンズアルデヒドあるいはp−ブトキシベンズアルデヒドの環状縮合反応によるCRAの合成において、各試薬を微細化・混合する簡便な手法(=無溶媒反応)を応用することにより、廃液が少ない・反応時間が短縮・常温反応による省エネ化などグリーンケミストリーの要素を満たす合成方法を確立することができました。今後は、レゾルシノールと反応させるアルデヒドを種々検討し、応用範囲を広げていく予定です。
無溶媒反応によるカリックス[4]レゾルカレンの合成(H21)の画像1
図1 CRAの構造式
無溶媒反応によるカリックス[4]レゾルカレンの合成(H21)の画像2
写真1 無溶媒反応によるCRA合成