大学校及び設置科 東北職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 機械は機械設計、機械加工、機械製図、CAD/CAM技術、安全衛生、電子はコンピュータシステム技術、実装技術、CAD/CAM技術、電子回路技術、プログラミング技術、安全衛生、情報はコンピュータ制御プログラミング技術、計測制御システム構築応用実習
課題に取り組む推奨段階 機械はNC工作機械による加工、3次元CADによる設計など、電子は電子回路技術、プログラミング技術、CAD/CAMを用いた実装技術など、情報はコンピュータ制御プログラミング技術、計測制御システム構築応用実習などをそれぞれ習得した段階
課題によって養成する知識、技能・技術

機械は金型の設計・製作を通し機械設計、精密加工、組立・調整等の総合的な実践力を、電子は電子回路設計技術、実装技術等の総合的な実践力を、情報はPCとのI/FであるUSBドライバ開発、GUIアプリケーション開発等の実践力をそれぞれ身に付けます。

製作の目的と概要

GPSを利用したシステムとして車載用ナビゲーションシステムが普及し、また携帯電話等にも搭載され様々な場面で利用されるようになりました。そこで本課題ではGPSを利用したシステムとして、国定公園などの自然公園、動物園等の広域な施設での利用に限定したポータブルナビゲーションシステムの開発に取り組みました。歩行者が目的地を指定することにより、方角及び距離を表示させるとともに簡易的なマップ表示が可能です。またポータブルナビを貸し出す施設側では、利用者のログデータを取得して様々な動向分析ができるようにしました。製品のデザインから筐体設計、機能設計、また地図情報転送等のパソコン上のアプリケーション制作まで3科一体で取り組んだ開発課題となっています。

成果

製作したポータブルナビの外観を図1に示します。小型GPSモジュール、電子コンパス、有機ELディスプレイ、地図情報等の保存のためのmicroSDカードメモリおよびリチウムポリマー電池を内蔵し連続7時間以上の動作が可能です。携帯電話でのGPSと異なり、携帯電話の電波の入らない場所においても自律で位置情報を取得することができます。操作は十字キーやプッシュボタンで行い目的地の設定やディスプレイの表示モード変更などが可能です。
また電子コンパスを搭載したことにより静止した状態で方角を知ることができます。(図2)
ポータブルナビはパソコンとUSB接続することにより地図情報の更新や取得したログデータを転送が可能です。パソコンでは専用のアプリケーションにてポータブルナビに最適化された地図情報の作成や加工が可能となっており、またログデータの表示分析や特定場所での滞在時間の分析アプリケーションなどが実装されています。(図3,4)
筐体の材質はABSであり、金型の設計・製作の後、プラスチック射出成形により製作しています。寸法は110×85×24mmとなっておりGPSの受信感度を考慮した左右非対称の形状となっています。成形した筺体のCAD図面を図5に示します。
ポータブルナビゲーションシステムの開発(H21)の画像1
ポータブルナビゲーションシステムの開発(H21)の画像2