大学校及び設置科 近畿職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 ◆機械技術:機械設計、機械材料、工作機械、機械加工、自動化機器◆電気・電子技術: 電子回路設計製作、センサ、アクチュエータ、制御技術◆情報技術:生産データベース、インターフェース、通信、VB®◆生産システム系技術:生産管理、品質管理、創造的開発、安全衛生
課題に取り組む推奨段階 ◆機械技術:機械設計、自動化技術、各種機械加工技術◆電気・電子技術:メカトロ制御技術、電子回路設計・製作技術◆情報技術:データベースシステム構築、プログラミング技術◆生産システム系技術:アイディア発想法、VE手法、生産管理。以上を習得した段階
課題によって養成する知識、技能・技術

◆機械技術:機械設計、機械加工、機械組立・調整◆電気・電子技術:回路設計、センサ・アクチュエータ選定、制御プログラミング◆情報技術:DB設計、通信制御、プログラミング技術◆生産システム系技術:生産管理、信頼性・人間・安全工学、アイディア発想法、VE手法

製作の目的と概要

近年、製造業では危機管理体制の一環として、製品のトレーサビリティシステムの構築が進められています。例えば、製品組立工程でのネジの付け忘れなど、作業者のポカミスにより不適合品が出荷されたことが判明した場合には、該当ロットを回収し、点検を行うことになり、多大な経営ロスが発生します。 今回、課題を提供していただいた企業では、組立工程時のネジの付け忘れ防止策として、組立に必要なネジを予め必要数だけ作業者に供給しています。そして組立後にネジが余った場合には、全数をばらして確認を行い、不適合品を出荷させない仕組みになっています。しかし、ネジの個数は人間が数えるため、付け忘れではなく、数え間違いによりネジが余る場合もあり、改善が望まれています。
以上のことから、本年度の開発課題では、必要な個数のネジを確実に自動供給できるシステムの開発に取り組みました。

成果

製作した自動ネジ供給装置の外観を図1に、仕様を表1に、システム概略図を図2に示します。ここで図1はカバーを外した状態を示しています。装置前面のタッチパネルで必要なネジ個数を入力すれば、指定した個数のネジが自動供給される仕組みとなっています。また、供給したネジの種類と個数、および供給時刻などの稼働実績や、機械故障に関する情報などを収集し、生産管理で活用することが可能となっています。開発した装置の特徴として、最大供給能力を高めるため、あらかじめ10個単位で計数保管する仕組みを導入しています。このことにより、99個のネジを15秒で供給することができます。
今後の課題としては、安定稼働の確実性の向上、多種類のネジへの対応、装置の小型化、静音対策などが考えられます。
作業者を支援するネジ供給システムの開発(H22)の画像1
図1 自動ネジ供給装置
作業者を支援するネジ供給システムの開発(H22)の画像2
表1 仕様
作業者を支援するネジ供給システムの開発(H22)の画像3
図2 システム概略図