大学校及び設置科 近畿職業能力開発大学校 建築施工システム技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 木質構造施工・施工管理課題実習、施工実験、内装施工実習、住宅性能論など
課題に取り組む推奨段階 建築施工システム技術科 最終年度
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、木造住宅の耐震補強に関する専門技術と知識を習得します。また、課題発見・問題解決能力等のコンセプチュアルスキル能力全般も合わせて身につけます。

製作の目的と概要

既存木造在来軸組住宅の耐震補強改修の一環として、地元の建具業団体と共同で、耐震補強を容易に行うために「建具を用いた木造住宅の耐震補強法」について研究を行いました。強度の高い建具を開口部に固定することで、床や天井の改修をせずに、耐力壁としての性能を保障することが可能なのか、そして開発した耐震建具の活用法と施工マニュアル(仕様書)の作成を目指し、開発課題として取り組みました。

成果

間口が12尺(2間)ある4枚の襖が立つ開口部を想定し、そのうち両端の建具を耐震補強用建具と位置づけ、研究を進めました。あらゆる形状の建具を検討し、実際に作成し、静的加力試験機において「壁の面内せん断実験」を行い、その実験データより壁倍率を算出し、耐震補強建具としての有効性を検証しました。(図1・2)
壁倍率の向上のみにとどまらず、その破壊性状からも建具設計を見直し、平成22年度は、格子を斜めに組み立てた建具を使用する事により、筋かい的な効果を得ることができ、壁倍率も1.5〜1.7程度が見込まれる建具を開発することが出来ました。
今後も継続し、格子の組み方や間隔、固定方法などにより、壁倍率の高い耐震性能を上げる建具として継続して研究し、実用化を視野に入れた「日本建築防災協会」への申請に取り組むこととしています。
建具を用いた耐震補強法の開発(H22)の画像1
図1 耐震建具の壁せん断実験
建具を用いた耐震補強法の開発(H22)の画像2
図2 せん断実験後の破壊性状