大学校及び設置科 中国職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 ◆機械:安全衛生、材料、力学、機械設計、機械加工、精密測定、制御技術 ◆電気・電子:電子回路設計、計測技術、センサ技術、筐体設計
課題に取り組む推奨段階 応用課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

◆機械:企画開発、設計、機械加工、組立調整、制御、報告書作成、発表 ◆電気・電子:企画開発、電子回路技術、センサ技術、筐体製作、報告書作成、発表

製作の目的と概要

ばねのような圧縮や引張りの応力が繰り返し作用する機械部品では、疲労破壊に対する寿命試験が必要になります。寿命試験は長時間を要するため、できれば疲労試験機を複数台用意しておくのが望ましいところです。その場合、試験機の省スペース化、省人化も切り離せない検討課題となります。
現在市販のばね疲労試験機はかなり大型のものが多いため、設置場所の確保やレイアウト変更において不便な状態となっています。またばねの破断検知機能や連動した試験回数保持機能も使い勝手のいいものが望まれています。工場内で使用するため、周辺設備からのノイズによる破断検知や試験回数カウントの誤動作の心配もあり、既製品の試験機をそのまま使用するには解決すべき問題点が多々あります。
そこで試験用ばねの範囲に絞ったコンパクトな装置で、ばねの破断検知機能や連動した試験回数保持機能があり、ノイズにも強い、信頼できる精密ばね疲労試験機の開発に取り組みました。

成果

本装置では引張りばねと圧縮ばねの疲労試験ができ、個々のばねの変位繰り返し数が独立してカウントできるようになっています。試験の途中で疲労破壊して断線した場合、ばねに流れていた微弱電流の遮断を検知することにより、断線したばねのカウントがストップし、そこまでの変位繰り返し数が保持され、表示窓に表示されるようになっています。断線していないばねについては、カウントアップしていきます。
またばねの変位振幅を0〜60mmの間で0.5mm程度の精度で設定できるようになっています。ばねの疲労試験では初期変位と変位振幅を疲労試験条件として設定する必要があり、初期変位は個々のばねの取り付け部にある送りねじで調整し、変位振幅は偏心量可変式クランク機構で設定できるようになっています。
 ノイズに対しては電源フィルター、シールド線、板金、74HC14回路、FPGAの回路変更により、対策を施しました。
精密ばね疲労試験機の開発(H22)の画像1
図1 引張りばねの疲労試験
精密ばね疲労試験機の開発(H22)の画像2
図2 精密ばね疲労試験機の構成
精密ばね疲労試験機の開発(H22)の画像3
図3 開発した装置の外観