大学校及び設置科 東北職業能力開発大学校 建築施工システム技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 安全衛生、応用構造力学、建築生産管理、木質構造施工・施工管理課題実習
課題に取り組む推奨段階 木質構造施工・施工管理課題実習終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、企画、施工計画、施工・施工管理、設計監理、評価、省力化、合理化等の技術の実践力を身に付けます。

製作の目的と概要

東北能開大応用課程建築施工システム技術科では、標準課題・開発課題(総合施工・施工管理課題実習)(以下「総合施工実習」と略す)+応用課題実習)を実施しています。応用課題実習の実施に際しては、?総合施工実習をより深める実験や調査研究、?企業・団体との共同研究・技術開発、?行政・団体との協定に基づく連携事例、?地域展開・地域貢献等のテーマを設定しています。ここでは、宮城県栗原市産業経済部都市観光課との連携により進めている開発課題(応用課題実習)テーマである「農家型長屋門」建築物実測調査手法を対象事例として、「ヒューマン・コンセプチュアルスキルの能力養成の実践」に関して、実測調査手法とのかかわりについて分析・検証を行いました。
長屋門は江戸時代に陣屋の正門として多く建造され、門の両袖が長屋もように仕切られ、門番
や仲間部屋として、家臣・使用人の居所などに利用されていました。 栗原市・登米市の長屋門は農家が持つ門として独特のもので、門の左側は農作業をする人たちの住まいとして使われ、右側は農作業をしたり農機具を収納したりしており、今も作業空間や倉庫として使われているところが多いです。そこで「農家型長屋門」として位置づけ、調査を行いました。

成果

今年度のアンケート調査件数は、昨年度より多い24軒のアンケートを集約することができました。登米市内に存在する「農家型長屋門」は農作業場として建てられたものであり、武家屋敷門として発生した「長屋門」とは用途が違うことがわかりました。また、地震による影響などにより現在の所有者が使い易いように改修し、古くからある「長屋門」を上手に再活用している事がわかりました。
調査時に、長屋門の耐震について相談・依頼を受けたので重要文化財(建築物)基礎診断実施要領の『エネルギー一定則』を使い耐震性能の判定を行いました。
結果は、大地震には損傷する可能性が高いと判断されます。機能限界エネルギー、倒壊限界エネルギー共に入力エネルギーを上回ったためこの長屋門は概ね安全ということが判断されます。
実測調査で測定した値を基に、耐震診断に必要な矩計図、3D画像パースを作成しました。また、今年度新たに調査した地域に関して、「新・長屋門マップ登米版」も作成しました。
栗原市・登米市の「農家型長屋門」に関する調査2009 ―建築物実測調査におけるヒューマン・コンセプチュアルスキルの実践―(H22)の画像1
図1. 聞き取り調査
栗原市・登米市の「農家型長屋門」に関する調査2009 ―建築物実測調査におけるヒューマン・コンセプチュアルスキルの実践―(H22)の画像2
図2.登米市内長屋門
栗原市・登米市の「農家型長屋門」に関する調査2009 ―建築物実測調査におけるヒューマン・コンセプチュアルスキルの実践―(H22)の画像3
図3.3D画像パース