大学校及び設置科 沖縄職業能力開発大学校 電子情報技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 組込実装についての知識・技術・技能、“総合的ものづくり”のための知識・技術・技能
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

クライアントの要望に基づいた“総合的ものづくり”の基礎知識・技術、AVR®マイコン活用技術、インターフェース技術、センサの活用技術、Arduino®IDEを用いたプログラミング技術

製作の目的と概要

例年、宮古島地区では、土壌害虫(ケブカアカチャコガネ、以降”ケブカ”と略す)によって、サトウキビへの被害が発生しています。発生した被害規模は、十数年前より年間2億円程度とみられています。被害は、サトウキビの根をケブカの幼虫が食べることで発生します。
 既存技術として、ケブカの性フェロモンを含有したロープ製剤をサトウキビ圃場に設置することで、雌雄の交信かく乱を誘発し、交尾率を減少させるものがあります。しかし、ロープ製剤による交信かく乱は、施設の設置やロープ製剤のコストが増大し、環境への影響についても心配される状況となっています。
 本研究では、現状とクライアントからの要望に基づいて、ロープ製剤による交信かく乱剤をケブカの行動習性に合わせて拡散装置を制御することで、交尾率を減少させつつ、環境負荷の低減をはかるものです。
★技能・技術習得目標:
 クライアントの要望に基づいた仕様条件の策定
 規定された仕様条件に基づいた、システム設計
 設計されたシステムに基づいた設計・試作
 製作した試作機による評価試験の実施と評価

成果

2013年2月、学生が設計・試作した試験機と同型機を40機クライアント企業で製作し、宮古島のサトウキビ圃場設置し、評価実験を実施することができました。評価試験の結果は良好でした。また、九州ポリテクビジョンで発表をおこない、優秀賞となりました。
★アピールポイント:
学生が設計・試作した試験機について、設計・製作内容について当該企業へセミナーを実施、企業で設計・試作に基づいて同型機を増産し、宮古島のサトウキビ圃場へ設置し、評価試験を実施するに至った。本実習を通して、沖縄の一次産業に対しても、微力ながら組込実装技術を活用することができました。
また、当該企業へ、応用課程の学生が1名就職し、試験機の改良および大学校との共同研究等による連携を、次年度への継続できました。
害虫交信かく乱剤拡散装置の設計・試作(H24)の画像1
図1.交信かく乱剤拡散装置の目的
害虫交信かく乱剤拡散装置の設計・試作(H24)の画像2
図2.試作1号機(左)と試作2号機(右)
害虫交信かく乱剤拡散装置の設計・試作(H24)の画像3
図3.評価条件と評価結果