大学校及び設置科 北海道職業能力開発大学校 生産技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 工業力学、材料力学、メカニズム、機械加工、機械工作、数値制御、機械製図、CAD/CAM実習、数値制御加工実習、機械加工実習、機械工作実習、精密加工実習
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

CAD/CAM技術、NC機械加工技術、汎用機械加工技術、板金・溶接技術、内燃機関工学、機械保全技術、チームワーク作業、スケジュール管理

製作の目的と概要

自動車製造に関係する仕事に就くことを目標に生産技術科に入学したという学生の中にあるクルマへの興味を具現化するためのテーマとして、シンプルで構造を理解しやすい2輪オートバイの製作を選定しました。CAD/CAMと各種工作機械を多用し、軽量、高剛性のジュラルミンで削り出しフレームを製作します。
設計作業における特徴は、2点挙げることができます。1つ目はレトロフィット手法を採用したことです。ベース車両から再生して使用する部品と新たに設計・製作する部品が精度よくフィットするようにしなければならないことで、フレームの形状やマウント位置と言った基本設計はウッドモデルを試作し、再生部品に合わせて採寸しながら形状や寸法を決定したことです。2つ目は、オートバイ設計で重要な要素であるフレームの強度設計についてです。座学で荷重による応力、ねじれといった現象について理解はしているものの、実際に強度不足の現象を経験したことが無いものにとってその計算の必要性を理解することは難しいのです。そこで、試作ではあえて強度不足の材質、形状で試作し、重量物であるエンジンを搭載し、はじめてフレームがねじれ、ぐらつくことにより、強度不足を体験することができ、設計段階の強度計算の重要性・必要性を理解させるようにしました。
★技能・技術習得目標:
CAD/CAM技術、NC機械加工技術、汎用機械加工技術、板金、溶接技術の習得を目指します。実践技術者に必要な「ものづくり」の技能・技術を身に付けます。

成果

生産技術科で習得した技能・技術や知識を駆使して製作を実行することにより、知識や技能の定着に結びつくことが出来ました。製作には5人の学生によるグループワークとして、それぞれの得意分野を活かし、作業を分担しながら製作しました。定期的に進捗状況を把握し、作業に締め切りを設定するなどの工程管理なども学生が行い、予定通り完成することが出来ました。全員が積極的にものづくりに参加できたことが大きな成果と言えます。
★アピールポイント:
コンセプトは、環境保全の観点から廃車になったオートバイの部品を再生利用して、新型のオートバイを製作するレトロフィット手法を採用しています。ベースに用いたオートバイは、排気量50ccの単気筒4ストロークエンジンであり、構造がシンプルなことから整備解説書を見ながらであれば、初心者の学生にも整備をすることができます。近年では、電動バイクにも注目が集まっていますが、機械要素のかたまりといっても過言でない、ガソリンエンジンを使用することでエンジンの構造や機械要素部品の使用法を実物で理解できることが本制作の特徴でもあります。
レトロフィット手法によるアルミフレームオートバイの製作(H25)の画像1
図1 企画ミーティングの様子
レトロフィット手法によるアルミフレームオートバイの製作(H25)の画像2
図2  MCによるフレーム加工
レトロフィット手法によるアルミフレームオートバイの製作(H25)の画像3
図3 完成したオートバイ