大学校及び設置科 北海道職業能力開発大学校 建築科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 環境工学(?、?)、環境工学実験、建築材料?、建築施工実習?
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

音環境測定技術、枠組壁工法施工技術、施工管理、音響設計

製作の目的と概要

 近年、住宅やオフィスビルにおいては、電子機器や機械設備からの騒音が心身のストレス要因となっています。これらの騒音を測定するためには、暗騒音が少なく自由音場が得られる無響室が使用されています。暗騒音を抑制するためには遮音性の高い躯体が必要であり、また、自由音場を得るためには幅広い周波数音域で有効な吸音材が必要です。吸音材については、高密度のグラスウールやロックウールボードが使用され、中・高周波数音域においては、良好な特性が得られています。しかし、低周波音域に有効な吸音材は、形状がくさび形のため室容積の減少が課題となっています。そこで、本課題では、平板型吸音材の低周波音域の吸音性能向上を目的に、新たに考案した金属空気膜積層グラスウールを適用した簡易無響室を製作し、性能評価を行いました。
★技能・技術習得目標:
課題を通して、音環境測定の技術と枠組壁工法の施工技術および施工管理を習得します。

成果

 金属空気膜積層グラスウールを適用した簡易無響室を枠組壁工法により製作し、音響測定を行った結果、125Hz以上の音域では自由音場(倍距離6dB減衰)が実現でき、無響室としての使用が可能となりました。一方で、63Hz以下のような極低周波音域の吸音性を向上させるためには、金属空気膜の密度や弾性を高めるなどの改善が必要であることがわかりました。
★アピールポイント:
学生自らが考案した金属空気膜積層グラスウールを適用した簡易無響室を製作した上で、性能を評価することできました。また、第8回環境工学系卒業論文発表会(EGGs'13)において成果を発表することができました。
金属空気膜積層グラスウールによる簡易無響室の製作と性能評価(H25)の画像1
図1 簡易無響室壁断面
金属空気膜積層グラスウールによる簡易無響室の製作と性能評価(H25)の画像2
図2 完成した簡易無響室内
金属空気膜積層グラスウールによる簡易無響室の製作と性能評価(H25)の画像3
図3 低周波音域における音響特性