大学校及び設置科 東北職業能力開発大学校 生産技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 材料力学、機械製図、機械加工実習、CAD実習、精密測定
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

機械設計法、材料力学、フライス盤を用いた機械加工、3次元CAD、工程管理

製作の目的と概要

 昨年製作したヤング率測定装置を改良して、応力くさびの実験、および柱の座屈荷重試験ができる学生実験用の教材を作成しました。前者は、横荷重を受けるはりの断面に生ずる引張および圧縮応力を上下端面から1/6の位置に生ずる偶力としてとらえ、ばねばかりでその大きさを検出する実験です。後者は、フレームに取り付けたペットボトルに水を注ぎ、ポリアセタールの柱に圧縮荷重を加えて、これを座屈させる実験です。柱の両端は、単純支持できるよう、プランジャを用いて柱を固定します。ペットボトルに少しずつ水を加えて、静的な圧縮荷重を加えます。柱が横方向に「逃げる」ときの重量と、オイラーの公式で求めた荷重の大きさを比較します。この二つの機能追加により、機械工学実験に多様性をもたせ、かつ市販の実験装置の購入コストを抑えることができました。
★技能・技術習得目標:
 装置の設計から半自動フライス盤を用いた機械加工、組立調整を一貫して体験することで、ものづくりの基本を学ぶことができます。さらに、実験マニュアルを作成することで、応力くさびや柱の座屈理論を学び、材料力学や機械設計に対する興味を喚起させることができます。

成果

 学習者が実用理論を理解するためには、測定精度が一定の水準に達していれば良いので、製作が簡単な本装置を量産することで、学生ひとり当たり一台の実験装置を割り当てることが可能です。はりの応力くさびは、材料力学では周知の事実ですが、これを実験装置に具現化したものは、著者の知る限り見られません。ものづくりを教える教育訓練ならではの成果であると思われます。
ヤング率測定装置の改良(H25)の画像1
図1 応力くさびの力学モデル
ヤング率測定装置の改良(H25)の画像2
図2 応力くさびの測定装置
ヤング率測定装置の改良(H25)の画像3
図3 柱の座屈実験