大学校及び設置科 四国職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 安全衛生、機械設計、材料、機械加工技術、測定、電気電子、制御技術、アクチェータ技術、センサ技術、画像処理、通信、プログラミング、ネットワーク技術などを中心に各科において専門課程から応用課程1年次までに習得した全ての知識・技能・技術
課題に取り組む推奨段階 応用課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

機械設計技術、計測制御技術、CAD/CAM応用技術、各種加工技術、制御システム設計製作技術、モータ制御、通信、マンマシンインタフェース、画像処理システム設計製作技術、画像処理、通信、プログラミング、企画開発、検証、報告書作成、発表など

製作の目的と概要

 地域社会に貢献できるものづくりをしたいという考えから、全国第2位で年間約700トンの生産量がある香川産のにんにくの出荷前の仕上げ機の開発に取り組んでいます。?ニシザワ様の依頼で開発課題テーマとして設定し、仕様決定やにんにくの入手などで、地元のJA香川県、香川県農業試験場、丸亀市とまんのう町や琴平町など近隣の農家の皆さんのご協力のもと、「にんにく仕上げ機」を開発しています。
にんにくは収穫後に乾燥し、出荷前に「茎切り・根切り・皮むき」の3つの仕上げ作業と、サイズ分けを行います。現状では全てが手作業を伴うため、これらの仕上げ作業を自動化して、作業者の負担の軽減や作業の効率化に貢献することを目的としています。
最初に依頼元の企業、JA香川県および生産農家などへの調査活動を行い、それを基にしてにんにく仕上げ機の仕様を決定しました。図1に、収穫後に乾燥した状態と仕上げ後のにんにくの写真を比較して示します。また、開発したにんにく仕上げ機の外観を、図2に示します。
★技能・技術習得目標:
 課題を通して、機械設計及び各種加工技術、制御システムの設計製作技術、画像処理並びに通信技術などを中心とした応用的なシステム開発技術を習得します。

成果

 図2ににんにく仕上げ機の外観を示します。各部の機能の概要を、図3に示します。各部の仕上げ処理の精度は、繰り返し実験による成功率で評価しました。根切りは75%、茎切りと皮むきはほぼ100%と判定しました。また、にんにく1個当たりの仕上げ処理に要する時間は、熟練者による手作業(72秒)と、開発した仕上げ機による昨年度(24秒)及び今年度(13秒)を比較して評価しました。
 以下に、画像処理を適用して、各サイズ階級と規格外品に仕分ける機能の概要を示します。まず、画像処理によるにんにくのサイズの判定例としては、2値化処理により、にんにくの最大球径を67mmと算出してサイズ階級を3Lに分別しました。つぎに、根の仕上げ処理の判定例としては、盤茎部に対する根の残存領域の割合を算出して、仕上げ処理の良否を判定しました。
 にんにくの最大球径について、画像処理の結果とノギスを用いた測定値を比較して、相関係数0.9694の検証結果を得ています。にんにくの最大球径判定処理では、1280x960画素の取得画像をグレースケール化後2値化処理します。にんにくの輪郭を抽出するためにラベリング処理を適用して、周囲の小さく剥離した皮や汚れなどを除外した後、解析対象範囲を絞り込みます。最大球径に対応する画素数に画素分解能を掛けて、最大球径を算出し、にんにくのサイズ階級を分別します。
にんにく仕上げ機の開発(H26)の画像1
図1 収穫後(乾燥)と仕上げ後のにんにく
にんにく仕上げ機の開発(H26)の画像2
図2 開発したにんにく仕上げ機の外観
にんにく仕上げ機の開発(H26)の画像3
図3 にんにく仕上げ機の各部概要