大学校及び設置科 沖縄職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 機械設計、精密加工応用実習、自動化機器応用実習、CAD/CAM応用実習、安全衛生管理、標準課題、創造的開発技法
課題に取り組む推奨段階 応用課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

企画・開発、構想設計、詳細設計、製作、組立・調整、制御、評価までの、一連の製品開発工程及びその活用能力(応用力、創造的能力、問題解決能力、管理的能力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、ドキュメント作成など)

製作の目的と概要

 本開発課題実習テーマは、沖縄県内企業「拓南製鐵?」より依頼され、2年目の取組となります。当該企業は、鋼板の切断作業の頻度が多く、ガス切断機やプラズマ切断機を用いて切断作業を行なっていますが、切断の準備作業に時間を要する事、曲線切断など複雑な形状の場合、熟練工でないと正確な切断が難しいなどの問題があります。そこで、作業の高効率化と熟練工でなくても正確な切断作業が自動でできる事を目的とし、「ガストーチを用いた自動切断装置」の開発を共同研究で取組みました。
★技能・技術習得目標:
 課題を通して、機械設計・加工技術、モータ選定技術、制御盤設計・配線技術、インターフェース回路設計・製作技術、プログラミング技術(PLC、マイコン、VB?)等の高度なものづくり実践技術を習得します。

成果

 今年度は、昨年度製作した試作機による機構部、制御部の検証を基に、実機(装置寸法:W5000×D2500×H2800)の製作を企業と一緒に行いました。企業からの要求仕様の概要は、以下のとおりです。
 ? 切断可能鋼材寸法は、W3048×D1524×t300以下とする。
 ? 穴あけ、ガス切断、プラズマ切断ができる。
 ? CADデータより穴あけ用、ガス切断用、プラズマ切断用NCデータを作成できる。
 ? NCデータにより、全自動運転を行うことができる。
取組の結果、要求仕様をほぼ満足することができ、手作業では切断の準備作業時間を要する問題、熟練工でないと正確な切断が難しい問題、などのボトルネックを解消することができました。また昨年と違い、NCデータを使用することで、企業にとってもデータの変更・修正が容易に行えるようになりました。
さらに企業から提供されたテーマを取り組んだ事についての開発課題としての成果は、以下のとおりです。
? 課題を製品と位置づけ、納期・完成度の高さを意識させることができた。
 ? 共同ミーティングは、普段とは違う緊張感と高いモチベーションで取組ませることができた。
? 企業の技術者からの指導や交流を経験させることができ、技術的なレベルアップのみでなく、社会人に向けての自信を持たせることができた。
★アピールポイント:
 本装置は、これまで沖縄職業能力開発大学校で取組んだ開発課題の中で最大の装置である。機械設計と機械加工は、企業のアドバイスや取組みが大きいところでありますが、制御部設計や配線、プログラム開発に関しては、当大学校独自の取組みで開発することができました。本装置は実機ということで、今後当該企業において実際に使用していく装置であり、それに耐え得る実用性・完成度の高い装置となりました。
ガストーチを用いた自動切断装置の開発(H26)の画像1
図1 全体構成図
ガストーチを用いた自動切断装置の開発(H26)の画像2
図2 機構部