大学校及び設置科 港湾職業能力開発短期大学校 神戸校 港湾流通科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 輸送概論、物流法令概論、港湾総論、港湾産業論、港湾特論、船舶論、荷役論、貨物論
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

「内航海運」の役割・位置付け、産業および就業構造の認識。調査計画の立て方、資料の収集方法、収集した資料の分析方法、分析結果の評価方法、考察視点の定め方、調査結果のまとめ方、論文作成方法・文書化スキル、発表スキルの向上。チーム力・協調性の涵養。

製作の目的と概要

 内航貨物輸送量は「トン数」ベースでは3.6億トンと、国内輸送機関別輸送量全体に占める割合は7.3%ですが、輸送量に輸送距離を乗じた輸送活動量:『トンキロ』ベースでは1749億トンキロと、実に40.7%に及び、とりわけ鉄鋼・石油・セメント等の産業基礎資材の長距離&大量輸送においては、内航海運は中心的輸送モードとなっています。また、船舶による輸送はトラック輸送に比べて、単位距離当たりの「CO2」の発生量が少なく、地球に優しい輸送モードです。このように、わが国の物流インフラを支えている内航海運ですが、内航船員数は減少する一方で、船員の高齢化が著しく(満50歳以上の船員が全体の約60%)、後継者の確保が喫緊の課題となっています。ですが、内航船の【船員不足】問題について、国民の関心・マスコミの注目度は決して高いとは言えません。
社会的に重要で、責任ある仕事にもかかわらず、内航船に、なぜ人が集まらないのか? その理由を調査し、課題解決に向けて、対策を提案することを目的としました。
★技能・技術習得目標:
 課題への取り組みを通じて、以下のスキルを習得することを目標とします。自力で問題を設定する力、原因を調べる力、状況・背景を分析する力、論点を整理する力、対策を案出する力、文書化する力、公の場で発表し、他人に伝える力。計画に沿ってプロジェクトを進めて行く力。

成果

 内航海運業界が、今なぜ、このような厳しい状況におかれているのか? 内航海運の歴史的経緯を調べてみたことで、その原因を『自分のことば』で理解することができました。内航海運業界には、個々の事業者が抱える個別の問題に加えて、業界の発展を阻む【構造的問題】が横たわっていることも認識できました。
課題解決にあたっては、《船内ネット環境の充実》など、既成概念にとらわれない、学生(20代の若者)の目線ならではの「改善策」の提案をすることができました。
★アピールポイント:
 20歳以下の若者に、「内航船員の仕事」に《興味》と《親しみ》を持ってもらうための広報ツールとして、オリジナルのマスコットキャラクタ:愛称【ないこチャン】を創案しました。『くまモン』や『ふなっしー』のように、われわれが考案した【ないこ チャン】がマスコミに採り上げられ、有名になり、これがきっかけとなって、内航船に乗ってみたい(船員になりたい)と希望する若者が一人でも増えることを、切に願っています。
「内航海運」の船員不足問題 ? 歴史と現状、課題解決に向けて ?(H26)の画像1
図1 船員数の年次推移
「内航海運」の船員不足問題 ? 歴史と現状、課題解決に向けて ?(H26)の画像2
図2 創案したマスコット”ないこ チャン”