大学校及び設置科 近畿職業能力開発大学校 附属滋賀職業能力開発短期大学校 住居環境科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 基礎工学実験(木質構造)、建築構法(木構造)、建築施工実習?、基本的な表計算技能(表計算、グラフ作成等)、基本的なCAD技能(コマンド操作等)、3級技能検定(大工職種)相当の技能
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

耐力壁の形状の検討,墨付け、加工等の技能・技術。製作した壁の実験結果より問題点の検証、改善までの一連の評価作業から実践的な木構造の開発が行えるなど、耐力壁に関する総合的なものづくりの力

製作の目的と概要

 耐力壁に関する実験については、主に壁倍率の向上に主眼を置いた検証が多くなされています。そこで、本制作では、耐力壁の強度のみを追求する壁を開発することが目的ではなく、木組みによる構法のみで、いかに耐震性や施工性の向上、コストの削減がはかれるかを課題として捉えます。また、大工技能に関する基本的な道具類の使用方法はもちろんのこと、木造耐力壁の製作を通したものづくりの評価方法の習得、問題点の検証・改善等の技能・技術の習得を目的としています。また、期限までに成果物を完成させることで工程管理の重要さについても学ぶことを目的としています。
★技能・技術習得目標:
 木造軸組構法における耐力壁について、金物を使用しない木組みの構法を用いた耐力壁を製作し、その耐力壁の強度性能等を検証します。そのため耐力壁の製作を通し、設計から施工、実験、分析、評価、改善までの一連の技能・技術の習得を目標とします。

成果

 大会結果からも、本制作で製作した大会仕様耐力壁である「エクスカリバー」はデザイン部門2位,加工・施工部門2位,環境部門1位と各部門の評価を得るとともに、「総合優勝三連覇」を達成することができました。
今大会結果より「エクスカリバー」の最大荷重は,大会史上初となる木造耐力壁43.76kNを記録し,最大変位も220mmを上回りました。また、壁倍率を算定すると約3.8倍であることがわかりました。
このことからも、今回開発した耐力壁は,一般的には粘りと耐力を有する耐震性の高い耐力壁であると言えますが、過年度の耐力壁と比較を行うと、部材数や加工性、つまり実用面での性能の低下が見られました。また、破壊性状も脆性的となったため、部材寸法を小さくし、込栓位置や本数を検討することで、これらの問題点の改善が見込まれるため、より実用的な耐力壁となると考えます。
★アピールポイント:
 本プロジェクトへの関心は高く、昨年度は一般社団法人福井県建築設計事務所協会主催にて第16回木造耐力壁ジャパンカップの報告会を実施させていただき、他団体や企業等との情報交換の場となりました。
また今年度も昨年度に引き続き、近畿建築士会協議会青年部会主催による「近畿アーキテクト2014」にて、本プロジェクト参加学生による活動報告を実施することができました。これにより、滋賀県内のみならず近畿圏内における各建築士等とのネットワークが構築できました。
木造耐力壁の開発及び実用性の検証2014(H26)の画像1
図1 大会仕様の耐力壁
木造耐力壁の開発及び実用性の検証2014(H26)の画像2
図2 大会仕様耐力壁図面
木造耐力壁の開発及び実用性の検証2014(H26)の画像3
図3 大会仕様耐力壁の強度特性