大学校及び設置科 近畿職業能力開発大学校 附属京都職業能力開発短期大学校 生産技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 物理、機械力学?、機械製図、測定、機械要素設計、機械設計製図、機構学、CAD実習?・?、機械加工実習、機械工作実習(手仕上げ)、精密加工実習(ワイヤーカット放電加工)、数値制御加工実習?、レーザ加工、3次元プリンタ、シーケンス制御実習?、機械組立調整
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

機械力学、機械製図、測定、機械要素設計(ねじれ軸、キー、軸受)、往復スライダクランク機構、2次元・3次元CAD、旋盤・フライス盤加工、手仕上げ、ワイヤーカット放電加工、マシニングセンタ、レーザ加工、3次元プリンタ、有接点シーケンス制御、機械組立調整

製作の目的と概要

本課題を通して、今まで学んできた要素(設計・加工・組立等)を活用し、複合した技能・技術及び活用能力を習得することを目的としています。特に、学生の基礎学力の底上げと力学の理論と実際を見える化した装置を製作することで理解度向上につながり、実学融合が図れると考えました。具体的には、力学を主体とした製品設計技術、切削加工や放電加工、3次元プリンタなどを複合的に活用した製品製造技術、製品設計製造情報のドキュメント作成及び管理技術などの習得を目標にしました。
また、本成果物をものづくりイベント等で展示することを想定し、将来ものづくり分野を担う若年層に対して興味の湧くような装置を検討しました。
 本課題のマーブルマシンの製作では、力学等を考慮してビー玉を転がして多種多様な動きを与え、位置エネルギーを与えたビー玉が落下時に鉄琴と衝突することで曲を奏でる装置です。これらの動きについて力学等を用いて検証し、装置の製作を進めてきました。
 装置の概要は、以下の通りです。
(1)ビー玉に位置エネルギーを与える「上方運動機構」
(2)曲を奏でる鉄琴の音板の数に対してビー玉を仕分ける「分岐機構」
(3)曲に合わせてビー玉を落下させる「ドラム機構」、「排出機構」
(4)アルミニウムの固有振動を考慮して曲を奏でる「鉄琴」
(5)装置全体を支える「フレーム」
★技能・技術習得目標:
 本課題の目標は4点あります。
1点目は、担当学生が1名ということもあり、設計・加工・制御・組立調整等といったものづくりの一連の流れを1人の学生が担当します。特に、部品加工においては、段取り、量産加工、加工精度の維持など細やかな指導の下、製造現場に即した実技習得を目指します。
2点目は、基礎的な力学等を実験・検証することで今まで学んできた学科・実技等により興味を持たせ、自ら考えて、自ら提案し、自ら行動ができる学生を養成して、コミュニケーション能力と人間力向上を目指します。
3点目は、学生1名での作業となるため、進捗管理や作業連携、トラブルシューティングの共有化等を実習開始前・終了時におけるミーティング時に徹底することで、取り組み内容への責任感を助長させます。
4点目は、成果物の活用方法を検討することで、メンテナンス性や安全性に配慮した成果物を目指します。

成果

【成果】
当初の計画よりも1週間早く完成し、動作確認ができました。鉄琴については、アルミニウム板の固有振動を解析して調律を行い、理論値と実験値との違いを把握させて製作して設計通りの動作確認ができました。完成した装置では、仕様の通り童謡を奏でることができました。
また、外部で開催されるものづくりイベント等での展示を視野に入れているため、持ち運びしやすいように各機構の分解を容易にできるように各機構をユニット化することでねじ止め等の組立調整を極端に軽減しました。
★アピールポイント:
動力を与えている間は、100個のビー玉が上方運動機構によって位置エネルギーを与えられます。ここでは、ビー玉を1個ずつ吸入し、往復スライダクランク機構を応用してビー玉を上方へ移動させます。その後、曲に合わせてビー玉を音板へ仕分ける分岐機構は、ビー玉の自重のみでアームを回転させビー玉を仕分ける機構となっています。そして、てこの原理を応用し排出機構によってビー玉を排出し、曲を奏でます。学生の斬新なアイデアを盛り込んだ独自性の高い成果物となっています。そのため、将来ものづくり分野を担う子供達に興味を持たせることができます。長期間にわたる展示物としても大いに活用ができると考えます。
鉄琴を用いたマーブルマシンの製作(H27)の画像1
図1 マーブルマシン全体図
鉄琴を用いたマーブルマシンの製作(H27)の画像2
図2 マーブルマシン上部拡大図