大学校及び設置科 関東職業能力開発大学校 生産システム技術系共同開発
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 ◆機械技術 機械設計、機械加工、自動化機器 ◆電気・電子技術 CAD/CAM応用実習、電子回路装置設計製作課題実習、マイコン制御装置設計製作課題実習 ◆情報技術 画像計測システム構築実習、インターフェース設計製作実習
課題に取り組む推奨段階 ◆機械技術 ◆電気・電子技術 CAD/CAM技術、シーケンス制御、マイコン制御技術などを習得した段階 ◆情報技術
課題によって養成する知識、技能・技術

◆機械技術 システムの開発を通して、設計、製作及び組立・調整等の総合的な実践力を身に付ける ◆電気・電子技術 モータドライブ回路設計技術、センサ活用技術、制御システム設計技術 ◆情報技術 画像計測、3Dグラフィック、制御プログラム、数値解析、データ構造・アルゴリズム

製作の目的と概要

 現在、骨折患者に対する外科手術には、骨折部を固定するために内固定材(生体適合性の高い金属プレート。以下プレート)が使用されています。プレートは手術中に医師が骨の形状に合わせて工具により手曲げ工を行っています。このとき、手術中の曲げ加工時間(10分程度)が患者への負担になるため、医療現場からこの作業時間をできるだけ短くするか、あるいは無くすことができないかという要望がありました。
 そこで本課題では、手術前にプレートの手曲げ加工を行なうことができる支援システムの開発を行うことにしました。図1にプレートの一例を示します。

 開発したシステムはソフトウェア部・制御部・機構部から構成されます。
 ソフトウェア部では、骨の3Dモデル化、制御部では各機構の動作制御、機構部では骨の表面形状に一致する面を225本(9列×25列)の先端が球状のピン(直径5mm)で立体形状を±0.5mmの精度で再現します。

成果

 本課題では、機構の開発から部品加工、組立調整に至るまで苦労しました。特にピン巻下げ歯車とピン側歯車の噛み合わせ方法に問題があり、最終的には歯車を軸方向に移動させながら歯車同士を噛み合わせることで問題を解決することができました。
 また、今回はワイヤを巻取る方法で形状を再現しましたが、他にもピンを押し上げる機構や、特殊なアクチュエータを使用する方法も考えられます。
 今後、ピンの間隔を狭くすることができ、形状を再現する速度が速くなれば3Dディスプレイとして医療現場だけでなく色々な分野で利用可能だと考えます。
内固定材成形支援システムの開発(H18)の画像1
図1 使用されるプレートの一例
内固定材成形支援システムの開発(H18)の画像2
図2 システム概略図
内固定材成形支援システムの開発(H18)の画像3
図3 装置外観(W1588×D720×H1147mm)