大学校及び設置科 九州職業能力開発大学校 建築施工システム技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 鉄筋コンクリート造及び鉄骨造に関する施工、表計算ソフトウェア、CAD、施工管理、施工計画、構造力学、RC造の設計、建築材料、建築積算、安全管理
課題に取り組む推奨段階 応用課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

当該課題における問題点を予め把握し、それを解決する方策の立案と実施する能力、及び、問題解決に至るまでの過程と性能評価の結果について、自ら判断する能力を養います。

製作の目的と概要

応用課程の建築施工システム技術科では、施工管理技術者の育成を目的としています。施工管理技術者には、?設計図書の正確な理解、?問題点の的確な把握、?解決策の立案と実行、?結果の評価、等の能力が必要となります。今年度は学生が多く集まった関係から、同じ規模・性能のアーチ形式の構造体について、RC造とS造の2つのグループに分けて設計から施工・施工管理まで行い、前述の能力の育成を図ることにしました。さらに、二つの構造体について、様々な観点からの比較を行いました。
★技能・技術習得目標:
基礎・躯体の構造設計、施工図・製作図の作成、施工計画の立案、施工および施工管理、性能評価ができる能力の育成を目標としました。

成果

桁行方向スパン2m×梁間方向スパン3m、基礎高さGL+1.5mとし、下部構造は共通でRC造とします。上部構造は、梁間方向に直径3mの半円アーチ屋根を架けます。荷重は、積雪荷重を共通とし、固定荷重は各々の構造体の重量を用います。S造はトラス構造とし、半円に近い形状となるように設計しました。外部足場計画は共用ですが、RC造では型枠及び支保工計画、コンクリートの打設計画、S造では建方計画、高力ボルトと錆止め塗装の管理などを個別に立案し実施しました。
RC造では事前の実験で、傾斜が30度を超える部分では「蓋型枠」を設けなければコンクリートを打設できないことが判っていました。しかし一方で、コンクリートの締め固めは難しくなります。残念ながら、今回は蓋型枠の設計と締め固めに問題があり、一部にジャンカが発生しました。内側の型枠と支保工については計画が奏功し、きれいな半円形が施工できました。
S造では、当初トラス構造で設計を開始しましたが、部材の納まりの関係で厳密にはトラスとならず、多くのリンク機構を持った不安定な構造となりました。高力ボルトで締め付けた時点では安定した構造体となりますが、それまでの施工期間中、所定の位置に部材を保持する計画を策定する必要性が生じました。アーチを3つの部分に分割し、ヒンジを4箇所に抑えること、また、それらの部材を支保工とレバーブロックで支持することで、問題を解決することができました。
★アピールポイント:
アーチ構造の施工は、ラーメン構造と比べると施工例は非常に少ないです。このような構造体を、構造設計を含めて実際に施工し、施工管理を行いました。さらに、二つの種類の構造体について、材料費、施工に係る人工(にんく)、工期、出来型の比較をすることができました。
アーチ構造物の施工と施工管理 ?S造とRC造の二つの構造種別?(H27)の画像1