安達信広さんからリレートークのご依頼があったとき,職業訓練の現場に一度も出ていない私などでよいものか判断に迷いました。が,現在私が携わっている,平成7年4目に全国2番目の県立職業能力開発短期大学校として開校する長野県工科短期大学校のPRにもなるかと考え,お受けすることとしました。
去年から今年にかけて,私は能開大や高度ポリテクセンターで研修を受けまくっていました。なぜかと申しますと,教員(予定者)が現時点で全員はそろっていないのが理由です(開校初年度は1年生を教えるだけの人数がいればよいのですが)。もし始めから教員が全員そろっていて,各人の受け持ち分野が決まっていれば,自分の関連した分野のみ研修を受ければよいのです。が,そろっていないということは自分がまったく知らない分野も教えなければならない可能性があるわけです。ですから,教えるネタをできるだけ幅広く仕入れる必要に迫られていたのです。そんなわけで,いろいろな研修を受け,多くの方とお目にかかりました。
安達さんとご一緒したのは,そのいくつもの研修の中でひときわ異色の内容であった,カウンセリング基礎演習のときでした。
カウンセリングの研修の内容は前回の安達さんが書かれているので省かせていただきます。ただ,安達さんが書かれたように,他の研修ではなかなか人と話さないようなことまで皆さん平気で話してくださいました。まったく現場経験のない私は,先生方の生の声を聞くことができました。で,他に個性の強い方々(特に九州勢:武田先生,角田先生,後藤先生,ごめんなさい)が多かったもので,残念ながら安達さんの発言や具体的行動はあまり覚えていません。ただ,そのにこやかな雰囲気は鮮明に残っています。その雰囲気が,カウンセリングの研修で,参加メンバーの間のクッションのような役を果たしているように感じていました。
さて,他に研修をいくつも受けましたし,群馬,大阪,滋賀のポリテクカレッジには見学をさせていただきましたので,この文章をお読みの方の中にも,私の顔をご覧になれば「ああ,こいつか」と思われる方が何人もおられると思います。でも,私は人の名前を覚えるのが苦手なので,お目にかかっても相手のお名前が出てこないことがしばしばあります。また,どこでご一緒したかもなかなか思い出せません。といって,無視しては失礼なので,知っているふりをしてご挨拶をすることがよくあります。そんなご挨拶を交わした人の一人が,佐藤正幸さんです。佐藤さんとは,いつどこで最初にお目にかかったのか今だにわかりません。本当は会ったことがなかったのかもしれません。ただ,能開大の研修寮の廊下でお会いしたとき,「この人は以前にどこかで会っているな」と思ってご挨拶をしたのが,記憶にある最初です。で,奇遇なのはその後です。能開大でお会いしてから一ヵ月後,私が高度ポリテクセンターに研修を受けに行き,何げなく事務窓口で声をかけると,そこに佐藤さんがいるではありませんか。思わず,「奇遇ですね。こちらでしたか」,佐藤さんは高度ポリテクセンターで事務係長をされていたのでした。その後,高度ポリテクセンターに行くたびにお世話になっています。
というわけで,次回の原稿は佐藤さんにお願いしました。佐藤さんは激辛好みのエネルギッシュな方で,お知り合いが幅広くおられます。きっと面白いお話が聞けることと思います。