毎年,労働省および雇用促進事業団本部と能開大との間で行われている「職業能力開発大学校運営三者連絡会議(グラ懇)」が,本年も7月25日(火)日比谷松本楼で開催されました。
労働省の伊藤職業能力開発局長,事業団の矢田貝職業能力開発担当理事をはじめ,関係のみなさまにお集まりいただいて,今後の能開大の業務運営等について懇談の場を持つことができました。
当日は,能開大側から業務運営状況について説明の後,次の議題に沿って会議は進められましたが,特に,長期課程および研究課程のあり方や能開大教員と他施設との人事交流の問題等についていろいろと意見交換がなされました。
平成7年度グラ懇議題
神奈川県内の4施設(神奈川雇用促進センター,ポリテクセンター関東,ポリテクカレッジ横浜港および能開大)は,神奈川県労使会議のもとに設置された広報委員会を通じて,これまで「SUNかながわ」を年4回発行するなど連携して広報に努めています。
その一環として,さる7月12日(水)から15日(土)にかけて,神奈川県の職業対策課が横浜の百貨店で「臨時大学求人情報コーナー」を開設した際には,その機会をとらえて4施設のためのコーナーを「雇用促進事業団紹介コーナー」として設けて,施設の紹介,学生募集などの広報に努めました。さらに神奈川雇用促進センターでは職業ガイダンスを同時に実施,求職活動をしている大学生に大変好評でした。
能開大では,開発途上国の指導員のための研修コースを実施しています。今年度も23ヵ国より47名の研修員が当校に訪れ,6コースに分かれて7ヵ月間,研修を受けています。各コースごとに専門の研修を受けていますが,夏の時期には専門性から離れて全員が参加する特別カリキュラムを実施しています。
今年度も,指導法や訓練システム・教材開発などの研修が行われました。その他には,7月27日に能開大職員との親睦を図る目的で,バレーボールの対抗試合が行われました。また,日本の文化を知るため,8月9日に鎌倉へバスで出かけて鶴ヶ岡八幡宮・鎌倉大仏などを回りました。
研修員にとって,日頃は接することが少ない職員との交流。鎌倉で触れた日本の文化。研修員にとって大いに楽しんだ夏の日になりました。
例年夏,能開大では,大学校のある相模原市教育委員会との共催で「市民大学」を開催しています。このねらいは,市民のみなさんに生涯学習の場として大学校を開放し,多様な学習意欲に応えるとともに地域社会との一体化を図ることにあり,今までに多くの市民が受講しています。
数えて第12回目となる今年の「市民大学」は,「高齢者の心理~高齢者を生かす~」をメインテーマに開講記念講演を含めて全7回にわたって開催されます。
これまでも「漆工芸の世界」(昭和60年度),「住まいとインテリア」(昭和61年度),「情報時代と親しもう」(平成3年度)など能開大の特色を生かしながら,同時に市民のみなさんにも受け入れられるような親しみのあるテーマが好評でしたが,今回は,いわゆる高齢化時代に対応した内容が設定されています。
平成7年度市民大学の内容
研修研究センター開発研究部においては,雇用促進事業団,都道府県立等の職業能力開発施設のニーズに対応するため,各種の分野においての開発研究を進めていますが,平成6年度のプロジェクト研究の取り組み成果を紹介します。なお,報告書,資料等についてのご質問は,広報普及室へご連絡下さい。
高年齢訓練生はそれぞれ就労経験が異なるためOA訓練に絞ってみても保有知識・技能レベルに個人的格差があります。このため訓練すべき内容も人によって異なるうえ,各人に適切な学習スタイルが存在しますので,訓練方法も人によって変えることが望まれます。プログラム開発部会では,このような問題意識に基づいて職務経験・知識・学習スタイルなど高年齢者ホワイトカラー個々人の訓練特性を明らかにする「特性診断プログラム」を開発するとともに,本研究開発で開発する各種訓練用教材の使い方も含め,学習者の訓練特性や訓練目標に応じた訓練プログラムを案出するツール「最適訓練プログラム」を開発する研究に取り組みました。
また,教材開発部会においては,平成5年度に開発したキー入力装置を活用した各種学習マニュアルおよび訓練支援ソフト・CAI等の教材を開発しました。
職業能力開発支援システムについて,その教材の創出体制と支援システムのあり方の分析検討結果は,平成5年度調査報告書67号に報告していますが,平成6年度は,現在開発中の教材開発支援システムの将来における発展性と機能強化を目的としてLANシステムの構築を試行するとともに,施設間グループウェアにより下記の教材を共同執筆しました。
現行の職業訓練指導員業務指針の見直しに係る提言の骨子づくりに資するため,わが国における学校外教育施設における指導者の養成・研修制度の実態調査を行いました。公的機関が設置している9職種の指導者養成施設を訪問して聞取り調査を行いました。
安全作業法の教育訓練にバーチャルリアリティ(VR)技術を応用し,実際の作業に近い環境をパソコン画面で疑似体験することができれば,感覚器官を通しての実体験的な訓練を行うことが可能になります。平成6年度は,安全作業法の訓練の実態調査を行い,その結果に基づいて多くの教育的要素を含んでいる「ボール盤作業」を選出し,VRモデルシステム開発に着手しました。
平成4年度の職業能力開発促進法改正に伴い,従来の養成訓練等の対象者別訓練体系から,習得する技能および知識の「程度」と「期間」に基づく体系に区分し,さらに「普通職業訓練」と「高度職業訓練」に区分がなされました。しかしながら,現状では在職者を対象としている普通職業訓練の短期課程および高度職業訓練の専門課程について,職業能力開発カリキュラムが必ずしも明確に段階的かつ体系的に区分されていない状況です。このため,早川校長を座長とする有識者研究会により,生涯能力開発体系化の必要性,現状等を明確にし,体系化の基本的な考え方をまとめるとともに,職業能力開発に関する技能・技術の段階的表示や分野別の区分表示について検討しました。
雇用促進センターで実施されている「職業ガイダンス業務」「ナイスワークセミナー」については,より一層効果的に求職者の早期再就職,在職者の能力開発の機会の増大を図る方法はないかという問題が提起されています。このような視点から雇用促進センターにおける相談援助業務の効果的なあり方を検討するために実態調査を実施し,これを基礎資料として業務実施上の問題点をまとめました。
精神薄弱者訓練における訓練指導上の問題点等を明確にして,解決の方法を構築し,より効果的な指導方法の確立を図ることを目的としています。平成6年度は,障害者職業能力開発校等に対する精神薄弱者訓練の実施指導状況に関する実態調査と訓練修了生が就労する事業者に対する訓練ニーズ調査を行い,調査内容を集計・分析しました。
今回は調査研究報告書について紹介しますので,必要な報告書がありましたら広報普及室(TEL 0427-63-9047)へ連絡して下さい。