• リレートーク【2】
  • ポリテクカレッジ新潟  三木 一伯

皆さん初めまして。ポリテクカレッジ新潟の三木一伯と申します。前号の吉池氏とは,能開大時代の同期で,やはり同期の仲の良いグループでバーベキューをしたりスキーに行ったり一緒に学生生活を楽しんでいました。卒業した後も彼とは何かと会う機会が多く,また互いの近況やいろいろな情報をメールでやりとりしています。リレートークの執筆をお受けしたわけですが,いろいろ考えた結果,私が今取り組んでいる卒業研究のことについて書かせていただきたいと思います。

私は初めての卒業研究のテーマとして,ソーラーカーの製作をあげました。ソーラーカーを作りたいと思ったのは次のような理由からです。まず,メカを製作するといった要素と,そのメカを制御するといった要素がうまくかみ合って完成するものであり,学生が2年間で学んできたことの仕上げとして適したテーマであると思ったこと。もう一つは,ソーラーカーの競技は最近盛んに行われており,その競技を具体的な目標とすることで学生も私もいっそうやる気を持って取り組めるということです。しかしソーラーカーを作ろうと決めたものの,機械専攻出身の私にはモータの回転を制御するモータドライバ回路など,制御回路部分を具体的にどのように作ってよいものやら見当もつきません。いろいろな文献を調べてみたのですが,全く初心者の私にも簡単に理解できるようなものは(当たり前の話ですが)なく,途方に暮れていました。

そんなときにお会いしたのがポリテクカレッジ滋賀電子技術科の木戸規雄先生です。今年度の実践教育研究発表会がポリテクカレッジ滋賀で開催されたわけですが,そのとき木戸先生の研究室で製作されたソーラーカーが展示されているのを見せていただいたのです。“実際に作った人の話を直接聞けることなどめったにない。これは自分に与えられたチャンスなのだ”と勝手に思いこみ,失礼を承知のうえでいろいろ知りたいことを質問させていただきました。その質問に一つひとつ丁寧に答えてくださったのが木戸先生と研究室の皆さんです。そればかりか,製作するうえでのポイントとなる点を詳細にわたってお教えいただき,実際に電子回路の実験を行っている研究室の中まで見学させていただき,大切な資料もお分けいただきました。

そのとき木戸先生がおっしゃった次のような言葉が印象に残っています。「私は何もしていないんです。設計から製作まで学生が全部やったんです」。私はその言葉の中に,学生を信頼し仕事を任せることの大切さを学んだような気がします。お陰様で制御回路はあと一息,また車体の方もまずまず予定通りにできあがってきています。この場をお借りして,木戸先生と研究室の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。また近い日にソーラーカー競技でお会いできる日を楽しみにしております。

さて,次回の原稿はポリテクカレッジ福山の烏谷部太氏にお願いしたいと思います。彼とはやはり能開大時代の友人で,長期課程4年間,研究課程2年間の合計6年間学生生活をともにしました。また部活動も同じ音楽部で,一緒にバンドを組んでいたという間柄でもあります(彼はギター,私はドラム)。学園祭の前など,徹夜で練習をしていた日のことが懐かしく思い出されます。人と人との出会いは偶然ではありますが,その偶然が重なって今の自分があると思うと,当たり前のことですが本当に不思議なものだと思います。

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