ポリテクカレッジ福山の鳥谷部太です。とりやべふとしと読みます。今後ともよろしくお願いいたします。前号の三木一伯先生とは,能開大の同期生です。バンドを一緒に組み,いろいろなところでライブをやりました。後々は,デビューをと,デビュー曲まで考えていました。デビュー曲は,“君が好き好き”というフレイズの愛矯のある曲です。昨年,一度だけ,三木先生と一緒に先輩の結婚式で披露させてもらいました。最近では,その曲も日の目を見る機会もなく寂しい限りです。この曲で三木先生と夢見た頃がなつかしいです。
この「技能と技術」が発行される頃に私は,社会人2年目となっています。月日がたつということは本当に早いものです。昨年まで私は,広島県の福山を全々知りませんでした。初めての土地で勉強不足である自分をいったいどのようにレベルアップしていくかが当面の悩みでした。しかし,どんなところでも人とのつながりがあり,偶然もなにかのきっかけになるものだと感じました。
私はこの士地で「高齢者・障害者のよりよい住まいを考える会」という備後地域におけるバリアフリー住宅の会に出会いました。現在は,その会に混ぜていただき勉強させてもらっています。なぜ福祉の分野に入り込めたかというと,それは偶然のことからでした。能開大の研究課程に進学したときです。研究を行うためには,福祉工学科の七尾助教授のところで研究している手法が必要となりました。私は,造形工学科でした。福祉工学科とは,それまで全くつながりがありませんでした。そんな私が,七尾助教授にご指導してもらったのがきっかけです。自分の研究の分野と福祉の分野はあまり関係がありませんでした。日常,福祉の分野にふれる機会が多くなり,身近に福祉というものを感じ,しだいに福祉の分野に興味を持つようになりました。私にとっては全く新鮮な分野でした。
今では,福祉工学科の先生方ともつながりを持つことができ,さまざまな情報を提供してもらっています。そのおかげでこの会に加えていただけることができました。現在,私はその会を通してバリアフリーということから,人との接点にたった責任のある豊かなモノづくりということを考えさせられています。
デザインや建築の分野は,モノづくりにおいて人をとても身近に感じる分野です。最近,ラジオで“老人の夜間の自転車による交通事故が多い,老人の自転車には夜間目立つ反射板が必要です”ということを耳にしました。しかし,それは老人だけに限った問題ではなく,自転車を使用する人全員にいえることだと思います。しかし,使用者側に原因を持たせるような表現は適切ではないと思います。夜間の自動車の運転手側からは,老人が見えないのではなく,自転車が見えないと判断するべきです。老人だからではなく,自転車に欠点があると思います。若い者と老人とでは反射神経に違いがあるから,老人の事故が目立っているのが現状だと思います。
現在の世の中は,弱い者の責任にしてしまいがちです。今後,やさしい考えを持ち,やさしい表現のできる人を育成していかなければならないと思います。このことから,現在の職業を通して私がやらなければならないことが見つかったような気がしています。
次号は,能開大の同期生でポリテクカレッジ川内の機械システム系の加治努先生に登場してもらいます。彼とは,福祉工学科で初めて出会いました。研究課程2年の夏,研究論文で忙しくなる頃です。それからが楽しかったです。一緒に海に行ってナンパしたり,男20人対女20人のまるで集団お見合みたいな合コンをしたり,それから研究室で朝まで飲んだり,鍋をやったりもしました(前号の三木先生も一緒だったような……)。今,思い出してみると学生最後の打ら上げ花火だった気がします。鹿児島では何をしているのか,顔を合わせる機会もなくとても気になります。