松本和重さん,お元気ですか? 松本さんとは昨年1年間,一緒に兵庫で働き,飲み,遊びと,楽しく過ごさせてもらいました。転勤先埼玉での生活にもそろそろ憤れてきたころでしょうか……。
さて私は「ヨロンの蒼い空間とカメ」のことをお話ししようと思います。
私は昨年10月,もう兵庫では秋本番という頃に,飛行機を2本乗り継いで鹿児島の果て,与論(よろん)島に行ってきました。与論島は地図で見ると,沖縄に最も近い鹿児島県の小さな小さな島です。この小さな小さな島で,私はスキューバダイビングのライセンスをとるべく,プールで溺れかけ,海でサンゴを折り,さらに白く輝くプライベートビーチを横目に,夜中まで続く学科を受けたのでした。
まず与論島到着直後,出会ったばかりのインストラクターE氏は,分厚い教科書とビデオを片手にニコニコしながらこう言いました。「これからこの本1冊終わるまで,たとえ夜中になっても学科の勉強を続けます」「うそでしょ? そんなの聞いてないよー」と喉元まで出かかった私に,「やる気のなくなった人はいつでもやめてもらっていいですから」とE氏の厳しいお言葉。なんとその日は結局,昼の3時から夜中11時までひたすら勉強・勉強・勉強だったのです。久々の「暗記」に,私の脳ミソは1日目にしてバテてしまいました。
「E氏の言葉は脅しじゃない」と学んで挑んだ2日目。よたよたと機材を運んで着いたところは,緩やかなカーブを描く真自なプール。白い滑り台までついているその優雅なプールに対し,慣れない器材を担いでブクブクしている私たちの,なんと不釣り合いなことでしょう。「できるようになるまでは終わりません」と言い放つE氏を前に,足のつくプールで溺れかけ,ゴホゴホ咳き込み,散々プールの水を飲んでしまいました。
そしてついに海に進出する3日目。船で沖合いまで出て器材を担いでドボン。「ゆっくりゆっくり」と意識しながら呼吸しているうちに,体が徐々に沈んでいき,そこには今まで見たこともない蒼い蒼い空間が前後左右に,そして上下にもずっとずっと広がっていました。「うっわー…,こんな世界が世の中にあったんだ…」自分が蒼い空間を水深18mまで落ちていくというのはとても不思議な感覚で,そしてボーっとしてしまうほどの感動です。映像でしか見たことがない珊瑚礁が自分の手で触れる,カラフルな魚が鼻先に群れている,次々にショックといってもいいくらいの感動が押し寄せて,もう受け止めきれないほどでした。
しかしこの感動にはまだおまけがつくのです。4日目,かなり運がよくないと出会うのは難しいといわれた「海ガメ」に遭遇! ヨロンの蒼い空間を悠々と泳ぐカメはとても大きく,その姿はりりしくて,私は今までのカメに対するイメージを一新しました。ヨロンの珊瑚礁で出会ったカメは,ぶさいくに泳ぐ私よりよっぽどかっこよかったのです。
そんなこんなで,ぜひ皆さんにも蒼い空間を体験してみていただきたい次第です。
さて,次回はポリテクセンター香川の木野戸深帆さんにお願いしたいと思います。木野戸さんは私の大切な同期の一人で,行動力あふれるキュートな女の子です。では,きのとちゃんお願いしまーす!