図1 生産ロボットシステム構築実習装置図2 電子回路基板表1 2020年度のテーマとカリキュラムとの関連性ム構築実習装置を図1に,電子回路基板を図2に示す。連動運転の概要について説明する。はじめに,供給ステーションにおいて作業員が電子回路基板をコンベヤに投入すると,ICが2個取り付けられる。次に,外観判別ステーションにおいて電子回路基板表面の外観検査が行われ,良否が判定される。その後,機能検査ステーションにおいて電子回路基板回路の電圧と信号周波数を測定し,良否が判定される。最後に組立・仕分ステーションにおいて良否判定結果に従い,ワークの仕分けが行われる。生産電子情報システム技術科では,本実習装置を用いてG課題では電子回路基板の外観検査を目的として,双腕ロボットの教示,ビジョンセンサを用いた画像認識及び検査結果表示アプリケーションの作成を行う。また,H課題では生産性の向上や付加価値の付与を目的として,G課題の成果物を利用しながら検査データの収集と可視化や生産設備の監視等,複数のテーマを設定しシステムの開発を行う。H課題の開発テーマは,社会的背景と標準カリキュラムを踏まえた上で,新たに発売されたセンサ-19-やマイコンを導入しながら設定した。社会的背景では,「IoT」,「ビッグデータ」,「AI」を活用できる人材育成が求められており,標準カリキュラムでは次の①から⑤のシステムの設計が授業科目として設定されている。① トレーサビリティ② IoTを利用したデータ収集と可視化③ FAシステムとITシステムの連携④ 自動搬送車を含むロボット制御の検討⑤ AI・機械学習の検討2020年度は4つのテーマを設定した。設定したテーマとカリキュラムとの関連性を表1に示す。テーマ「1.検査データ管理システムの開発」は毎年の必須テーマであり,電子回路基板の検査結果の収集と可視化を行う課題である。テーマ設定に向けては,スマートウォッチ等のウェアラブル(wearable,身につけられる)なIoTデバイスが普及してきたことから,腕時計サイズの液晶付きWi-Fiマイコンを採用し,物体認識のためにAIコンピュータを採用した。また,2020年度はコロナ禍の初年度であり,社会全体で感染拡大の防止に取り組んだことから,実習場内の二酸化炭素(以下,「CO2」という。)濃度の計測によって換気状態を監視したり,AIカメラでマスク着用を判定したりすることをテーマに盛り込んだ。2021年度は3つのテーマを設定した。設定したテーマとカリキュラムとの関連性を表2に示す。テーマ設定に向けては,Webページに撮影動画を配信できるWi-Fiカメラや,体表面の温度分布をサーモグラフィ画像として表示できる非接触温度セ3.開発テーマの設定
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