図1 建設機械動向調査中部職業能力開発促進センター 名古屋港湾労働分所 川橋 壮彦皆さんが日ごろ建設現場等で目にする建設機械は,日本国内にどのくらいの数が存在していると思いますか?主要建設機械(油圧ショベル,ブルドーザー,ホイールローダ等)の国内保有台数は図1に記載の通り1,019,827台という調査結果が出ています。この調査結果から,非常に多くの建設機械が現場で稼働(もしくは待機)していることが分かります。これらの建設機械は地域経済の発展のみならず,近年,全国各地に甚大な被害を及ぼしている自然災害等による被災地域の復興事業にとっても必要不可欠な重機です。-1-※ICT建機とはMC(マシンコントロール・システム)/MG(マシンガイダンス・システム)を搭載した建設機械の事で,建設機械に3次元設計データを取り込み建設自動制御(MC)やオペレーターへの操作ガイド(MG)を行うしかしながら,建設機械を扱う最も代表的な業界である建設業は,全産業と比較して高齢化が深刻な問題となっています。2019年の建設業における就業者数は29歳以下が11.6%に対し,55歳以上が35.3%と,若い世代にとって魅力ある業界へと変わっていく必要が急務となっています。このような中で,近年では第4次産業革命の進展に伴うICTの発達により,ICT建機(※下部参照)の活躍が目覚ましく,今や働き方改革時代の「救世主」とも呼ばれ,IT化が遅れていた建設業界において注目度が高まっています。これまでの3K(きつい・汚い・危険)から新3K(給料・休日・希望)の実現のためにICT建機は重要な役割を果たすものと考えています。前述のとおり,多数の建設機械が国内に存在していることに加え,建設機械を扱う業種が多様化していることも注目すべき点です。代表的な業種を見ても,建設・土木・解体・砕石・舗装・上下水道・産廃リサイクル・金属リサイクル・製鉄・港湾・除雪・農畜産・水産・林業・農業など,さまざまな現場があります。建設機械オペレーターとして従事されている方々の多くは,建設機械の運転資格を取得後,OJT等により運転技術を向上させています。運転資格を1.はじめに2.教材を作成した背景令和4年度職業訓練教材コンクール 厚生労働大臣賞(特選)受賞建設機械の保全技術〜現場で使える保守・点検〜
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