図8 点検表図9 点検箇所とポイントの説明図10 点検結果について検証もう1台については受講者2人1組で点検を実施してもらいます。ここで大事なことは,「正常・異常の判断が適切にできる」ことです。前述のとおり,当施設で実施する在職者訓練においては,当施設が保有する建設機械を使用します。これらの機械は日ごろ,当施設で実施している学卒者訓練や離職者訓練においても使用しています。このため,常に不具合がない状態となっています。故障していない(異常がない)機械をいくら点検しても効果は得られにくく点検には適していないため,事前に私自身でさまざまな装置の故障を再現できるよう意図的に不具合箇所を作っています。また,特に現場で発生率の高い不具合を優先し,できるだけ多くの不具合を再現しています。実技のメイン課題といったところでしょうか。説明をする上で“この部品に不具合があればこういった現象・症状があらわれる”といった事を実演あるいは口頭で伝えています。“エンジンが掛かればOK”,“機械が動けば取りあえずOK”ではなく,この状態は異常,あるいは予兆だということを理解していただきます。さらに受講者の方々には点検結果について,各装置の良否判定をしていただきます。良否判定をするための判定基準は,「測定した部位」であれば測定値と検査基準値との比較です。「目で見る部位」や「手で触っての部位」であれば学科で伝えたポイントを踏まえながら考えてもらいます。判定が出た後,判定に対する評価を実施するとともに,私の方から点検結果について,もう一歩踏み込んで“良”-6-か“否”だけではなく,この測定結果の数値,状況はすぐにでも修理・整備が必要なのか,それとも計画整備が段取りできるような時間的余裕があるのか,なぜこうなったのか,どうすれば防ぐことができたのかをポイントを絞って伝えています。また,受講者の方に必ず体験していただいていることがあります。それは「低燃費運転」です。なぜなら企業が抱える支出の割合が高いものとして“人件費”の次に大きなものが“燃料”です。建設機械は乗用車と比べ,燃料の消費量は桁違いに大きくなります。加えて近年の原油価格高騰も追い打ちをかける状況となっています。そのため,実技ではオペレーターの価値を高める取り組みの1つとして「低燃費運転」に必要な「エンジン回転と燃料消費量の関係」について燃費データをもとに実感してもらい,作業効率を極力保ちつつ,燃費が良い状態について理解していただきます。
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