図2 「技術」の構造図3 「技能」の構造語源辞典から得られたそれぞれの説明を以下に列記してみると「技術」:「理論を実際に応用する わざ」「技能」:「技芸を行う うでまえ」さらに古語辞典などから得られた周辺情報を加味して考えをすすめると,「技術」は,理論を現実化することである。理論の基となるとなる原理,法則といったものには,それが成り立つための条件があり,その条件の下で学んだことまたは教えられたことを現実化すること。これが「技術」の説明が示すところである。次に「技能」であるが,領域は技芸7)になるが,その演目をうまく演じる力量のことであるわけだが,この「うまく演じる」をもう少し見て行くと,うまく演じるための条件が示されていないのがわかる。よってどのような条件においても「うまく演じる」ことを示している。上記より得られる二語の構造であるが,「技術」はその内に,或る「条件」を含んでおり,この「条件」に一致しなければ,得られる成果は予期に反しても仕方がない。よって常に「結果」を担保しているとは言えない。つまり,或る「結果」を得るためには,或る「条件」が必須となる。これが「技術」の構造である。(図2)-20-対して「技能」は,「うまく演じる」ことしかなく,これはどのような「条件」においても「うまく演じる」ということで,「結果」の担保しかない構造となっている。(図3)はたして「技術」と「技能」の間には,常に「結果」を担保しているかいないか,という大きな相違点があった(当然,それぞれに領域はあるが,その境界は変わりやすく柔らかい)。さて,「技術」と「技能」の違いを,語源辞典を端緒に考えをすすめて,「技術」と「技能」二語の違いは,「無条件に「結果」を担保しているかいないかにある。」という結論8)に至った。そしてこの結論はこの二語の深い(元の)層9)に属するものである。ただし,二語それぞれに領域があることを付記10)する。ところで,図2を見ると「技術」から論理的と言える流れが見て取れ,ここから「科学的」または「科学と親和性のあるとした方が良い部分がある(または,あると感じる)」と言える。一方「技能」は,図3にあるように「結果」だけが表に現れるまたは強調されるため,その過程で個々の工程は見えるものの,その個々をつなぐ調整や選択(図中破線部)が理解できないため,どうしても秘伝や奥義めいたものを見てしまう。しかしやっていることは,あらかじめ用意をして,それに沿って行い,結果を得る,といった一連の流れであるわけで,そこに奥義があるとすれば,今で言う「管理」11)が含まれているからであろう。5.「技術」と「技能」の説明を比べてみると6.続・辞書からみた「技術」と「技能」7.付 録
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