2023年4号「技能と技術」誌 314号
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出典(原則本文中表記のものは略)注1) 徒然草七十五段:<前略>未だ,まことの道を知らずとも,縁を離れて身を閑かにし,事にあづからずして心を安くせんこそ,しばらく楽しぶとも言ひつべけれ。「生活・人事・伎能・学問等の諸縁を止めよ」とこそ。摩訶止観にも侍れ。2) 領域:対象としてもよいが,対象ほど輪郭が明確でないうえ,時間経過とともにその輪郭の位置や明暗が変わるため本稿では,影響の及ぶ範囲としての 領域 を採ることにした。3) 玉塵抄:中国元のころ(1307年)に編まれた,漢字を韻で分類した書『韻府群玉』の日本語解説書として室町時代末に編さんされた書。 なお「技術」が出てくるのは「関」の部。4) 技ノ術:国立国会図書館本には当該段落に「技術」とあるが,比叡山本には「技ノ術」とある。後者は国立国会図書館本より後の写本とされる。5) 明治期に西洋の訳語:明治期の訳語の多くは,当時の知識人(代表格は西周)が儒学や仏教用語である漢語からとったものが多くある。artの訳語:artの訳語なら「芸術」ではと思われるが,明治期に「芸術」はartの内fine artまたは,より狭義なものの訳語で使われており,これより広い意味であるartの訳語として,「技術」が当てられている。7) 技芸:[漢語] 歌舞音曲のわざ。 (角川古語大辞典 角川書店) 美術・工芸などの技術。の意が今では上位に出てくるが,本稿ではその趣旨からより古い時代での意である上記とした。6) 8) 結論:本稿はあくまで雑感であるが,あえて結論としてまとめると。9) 深い(元の)層:冒頭の「少しずれた位置から」にあるように,本稿の議論は語源辞典を基底としているため当然結論も同様の層にある。10) 付記する:「技術」と「技能」それぞれに領域があるが,その領域は変化しやすいため,より堅い「結果担保の有無」を主とした。そして,従である「領域」は付記とした。11) 管理:この管理は,計画と監理から成っている。ここでいう監理は転んでから策を講じること。管理は転ばぬ先の杖を用意するコト。音は同じであるが意は異なる。(杖そのものではない。転ばないという結果が出れば杖でなくてもよい)また,「ここで転ぶだろう」と環境情報から仮説を立てる暗黙の力に,秘儀や奥義を見るのだろう。 そしてこれが「うでまえ」の正体の一部であると考える。a)「技能と技術」誌1995年1号 須藤 秀樹氏b)語源辞典:・日本語源広辞典 ミネルバ書房・国語語源辞典 校倉書房・続国語語源辞典 校倉書房・語源辞典 東京堂出版・日本語源大辞典 小学館-21-c)古語辞典・角川古語大辞典 角川書店・古語大辞典 小学館・古語大鑑 東大出版・古語辞典 旺文社・古語辞典 学習研究社・全訳読解古語辞典 三省堂d)明治のことば辞典:本書は「明治のことば」を選択するにあたり,・明治時代に新しく誕生した語・明治時代になって意味の変化した語・明治時代に2つ以上の漢字表記や語形(読み方)のある語・明治時代の世相を反映する語という4つの観点から対象語を選択している。

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