表1 施行規則 普通課程の訓練基準 別表2機械系 機械加工科(系基礎科目のみ抜粋)表2 普通課程/訓練科目カリキュラム表機械系/系基礎学科/機械工学概論(機械要素部分のみ抜粋)-32-付ける指定のネジを選択するような場面や保守作業で機器に使われている既存のネジの劣化による使用の適否を判断したり,交換する場合にはそれがどのような規格のネジかを判断するような場面を想定できないでしょうか。こうした場面を想定できるなら,その場面をこなせるようにネジの種類と用途を指導する必要があります。そうであるなら指導する内容は規格上の種類,形状や材質による使い分けの一般原則だけでなく,実際のネジからどの規格に基づくネジであるかを判別する方法,ネジの劣化を見つける方法,ネジが使われている状況からネジの規格に必要な情報を読み取る方法,読み取った情報からネジの種類を推定する方法,規格に定められているが状況から読み取れなかった情報をどの程度重視してネジを推定すべきかなどを指導する必要があるでしょう。こうした内容をも指導するのであれば,ネジの種類と用途という単元には2時間弱程度の時間が必要であることが理解できるのではないでしょうか。3.4 職業の場面の想定=職業訓練指導員の役割上述したように能開法では職業訓練に,職業の場面をこなせる能力を習得させる訓練の実施を期待していると考えられます。しかし,施行規則の訓練基準,基盤センターのカリキュラムモデル,訓練基準では訓練内容の項目が示されているだけで,各項目が適用される職業の場面やそこで必要となる能力の想定は示されていません。したがってその隙間を埋めることが職業訓練指導員の役割となるのです。具体的には,訓練内容として示される項目を職業の場面に適用することを想定し,その場面に必要な能力の詳細を体系的に分析して指導内容を定義することが求められるのです。こうした,基準に定められた項目と職業に求められる能力の隙間を埋める職業訓練を実施するため,担当する職業訓練指導員の経験を授業に盛り込んで指導するというように説明されることがあります。しかしそれでは,一指導員の経験から羅生門アプローチ的に認識した教訓を語ることを求めているにすぎません。職業訓練指導員に求められるのは,3.3 職業の場面への適用を想定した指導内容例えば表2で,(1)ネジの種類と用途は,おおむね2時間弱で指導する内容と読むことができます。(7項目を12時間で指導する基準なので1項目2時間弱)ネジの種類と用途を単に規格上の種類,形状や材質による使い分けの一般原則を説明するだけの指導であれば,ものの10分から30分程度で説明できるでしょう。しかしネジの種類と用途を職業の場面に適用することを前提とする場合,そのような説明では足りないでしょう。機械加工の仕事の中でネジの種類と用途を適用するとしたら,どのような場面を想定できるでしょうか。機械加工の仕事の中では「設計」はしないでしょうから,強度計算を元に設計している機器に必要なネジを選択するようなことはないでしょう。しかし,多数のネジが保管された場所から機器に取り
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